冬の自然観察
「冬のみどころ」の楽しい空間は樹形と冬芽の植物観察です。京都御苑では「みどころ案内」を実施する際、歴史だけでなく、植物の観察・解説も行っています。
今冬は例年に比べて落葉は2週間ほど早く、すでに樹形がきれいに浮かび上がっています。苑内の大木、イチョウ、エノキ、ムクノキの壮大な姿を眺めに来てください。
冬芽の観察でもっとも楽しいのは、桜の花芽と葉芽の違い、桜の花芽と梅の花芽の違いが判る事かと思っています。
まずは写真を見ていただきたいのですが、大島桜の冬芽です。左から二つめは葉芽で残りの三つは花芽です。意外と知られていないのは、この一つの花芽からは三~四個の花が散房状に出てくる事です。すなわち九つ以上の花が付くと言う事になります。開花した桜が優雅で艶やかに見えるのは花芽の位置、つき方、花数の多さ所以です。
梅は「梅、一輪、一輪」と詩に詠まれますが、その通りで冬芽一個に花一輪です。落葉した枝に顔を出してきた冬芽を観察しながら、桜、梅の違いを見つけるのは難しいですが、楽しい世界です。