都内最大の緑地であり、古く江戸時代からの歴史を有する国民公園「皇居外苑」。そんな苑内で、夏に適した日陰の多いルートを通りながら自然・文化・歴史に親しんでみませんか?
各所おすすめの休憩スポットでひとやすみしながら、のんびり散策を楽しみましょう!
◎散策の際は帽子や日傘などを使用し、こまめな水分補給を忘れずに、熱中症には十分ご注意ください。
今回の散策ルートで最初に訪れる場所は、「旧江戸城外桜田門」(以下:桜田門)です。桜田門へのアクセスは、地下鉄桜田門駅3番出口をご利用ください。(※桜田門へのバリアフリールートはこちら)
出口出てすぐ左手、早速目の前に「旧江戸城外桜田門」が現れます。
桜田門といえば皆さんご存知、1860年に起きた「桜田門外の変」が有名ですね。大老井伊直弼が江戸城へ登城中、井伊の政策に反対していた水戸浪士18人により襲撃され暗殺された歴史的大事件は、この門前で起こりました。
昭和36年には国指定重要文化財に登録された桜田門。江戸城の中で最も大きな※枡形門をもつ御門です。
(※枡形門とは、第一の門「高麗門(こうらいもん)」と第二の門「櫓門(やぐらもん)」の間に枡形の広場を設けた、戦略上有利な門のこと)
日本の歴史の変遷を見続けてきた、荘厳かつ重厚感のある雰囲気を感じながら「高麗門(こうらいもん)」と「渡櫓門(わたりやぐらもん)」を通りましょう。
門を抜けると、青々とした芝生に約2000本の黒松が点在する「皇居前広場」が広がります。
ここ「皇居前広場」は、石垣越しに美しいお濠と奥に立ち並ぶオフィスビルを眺めることができ、江戸情緒と近代風景が楽しめる、とっておきのビュースポット。
広場で景観を楽しんだら、濠沿いを北へ約100メートルほど歩いて行きましょう。
・・・すると左手に、皇居前広場一番の人気スポット、二重橋が姿を現します。皇居の深い森と美しく調和するお濠と二重橋。そして背後には、豊臣秀吉が京都に建てた伏見城の一部を移築したといわれる「伏見櫓」が聳え、二重橋と共に皇居を代表する景観をつくりだしています。
(※二重橋へのバリアフリールートのご紹介はこちら)
・・・二重橋前で記念撮影をしたら、皇居前広場を後に、内堀通りの横断歩道を渡ります。交通量が多いので、青信号で渡る際は左右の確認をお忘れなく。
横断歩道を渡って約50メートルほど直進すると、右手の緑地の中に佇む巨大な銅像の姿が見えてきます。
こちらは、南北朝時代の武将、「楠正成」の銅像です。明治23年、住友家が別子銅山開坑200年記念事業として宮内庁に献納するため 東京美術学校(現東京芸大)に制作を依頼したもの。
同銅山の銅を用いて、高村光雲、山田鬼斎、岡崎雪聲(おかざきせっせい)などにより10年を費やして完成させました。
像は、元弘3年(1333)に隠岐から還幸途次の後醍醐天皇を兵庫の道筋でお迎えした折折の勇姿を象ったものです。どの角度から見てもバランスの取れた、躍動感あふれる楠正成像。じっくりとご覧ください。
・・・楠公像をご覧になったら、向かい側に位置するおすすめ休憩スポット、「楠公レストハウス」でひとやすみ。
施設内では江戸食を再現したお食事の提供や、ここでしかお買い求め頂けないお土産の販売を行っているほか、皇居や皇居外苑の情報を発信しているインフォメーションコーナーが設置されています。
(◎楠公レストハウスについて ◎お食事について ◎お土産について)
また、施設はバリアフリー対応となっておりますので、車いすでもお気軽にご利用頂けます。詳細につきましては、こちらをご覧ください。
レストハウスで一息ついたら、建物出て右手に進み、馬場先門交差点の歩道を、北へ向けて馬場先濠(ばばさきぼり)沿いにのんびり歩いていきましょう。
ふとお濠に目を向けると、水面を気持ち良さそうにすいすい泳ぐ、白鳥の姿がありました。白鳥のカップルは、ここ馬場先濠と和田倉濠でご覧いただけます。
東京駅北口正面に位置する行幸通りに突き当たったら、そのまま車に気を付けて横断歩道を渡りましょう。
・・・渡り終えたところで、行幸通りの左右にある四阿(あずまや)に注目。行幸通りは、大正12年、関東大震災復旧事業によりお濠を埋め立てて造られたものです。その当時、ここが皇居の入口に当たるため、行幸啓の折に、歩哨(ほしょう)が立った所と考えられます。四阿(あずまや)は安山岩造りで銅板葺きの屋根に夜間照明もつけられています。
四阿(あずまや)の脇から和田倉濠を眺めると、奥に木橋が見えます。濠沿いを歩いて、橋に近付いてみましょう。
こちらが和田倉橋です。
和田倉橋は現在皇居東御苑の入り口の一つとなっている平川門にかかる「平川橋」とともに、江戸城の木橋を復元したただ二つの貴重な木橋。
江戸時代この橋から内側は、大名や武士のみ通行が許されており、一般人は通ることができなかったそう。
1620年(元和6年)の改築で東北の諸大名より枡形が構築されたとされる和田倉門ですが、門は明治になると同時に撤去され、現在は石垣のみご覧いただけます。
江戸時代当時の様子に想像を巡らせながら砂利道を進んでいくと、突如目の前に近代的な景観が広がります。
こちらは和田倉噴水公園。昭和36年に今上天皇の御成婚を記念して創建された噴水公園です。
公園東側には2015年にリニューアルオープンした施設があります。テラス席では、ランダムに吹き上がる大噴水はもちろん、皇太子殿下の御成婚を記念して新たに造られた美しい流水施設を眺めなら、のんびりとご休憩頂くことが可能です。
(テラス席)
無料休憩所施設内は上質な木を基調とした重厚感ある落ち着いた雰囲気。
施設奥には、皇室や皇居外苑に関する展示物のほか、東御苑を含む公園の全体図、自然情報や見どころスポットなどのインフォメーションパネルが展示されています。
公園から内堀通りに目を向けると、江戸城本丸から見て「東南」(辰巳の方角)に位置する「桜田辰巳櫓(さくらだたつみやぐら)」がご覧いただけますよ。
地下鉄桜田門駅3番出口からスタートした夏のおすすめ皇居外苑散策。最終地点となった皇居外苑の一角に位置する「和田倉噴水公園」で、涼しげな水の音を聞きながら、癒しのひとときをお過ごしください。
※散策の際は、こちらのパンフレットをご利用ください。
※今回のコースを地図でご覧になる方はこちら.pdf
2016年7月28日 15:30