皇居外苑楠公レストハウス横では、八重咲きの紅梅が見頃を迎えています。まだ蕾のものもありますが、今週末には満開となりそうです。
今回の自分歩き・自然歩きマップ通信は、自分歩きマップ掲載の、松原つづく外苑の一角に佇む「楠木正成」像をご紹介します。
楠木正成像へは、地下鉄二重橋前駅が最寄駅です。B6出口から地上に出ると、正面二重橋の方向に、優美な伏見櫓が目に飛び込んできます。
このまま直進すると約7分ほどで人気観光スポット「二重橋」を眺める景観へと到着しますが、今回は一つ目の角を左へ曲がりましょう。
するとすぐ左手に見えてくるのは、平屋の長い建物「楠公レストハウス」。
施設内では江戸食を忠実に再現したお食事の提供や、ここでしかお買い求めできないお土産物の販売を行っている他、皇居や皇居外苑の情報を発信しているインフォメーションコーナー等もあります。
レストハウス正面に広がるのは、クロマツを中心とした緑豊かな芝生の広場。その一角に佇む銅像が、南北朝時代の武将「楠木正成」像です。
躍動感溢れるこちらの銅像、実は東京三大銅像の一つ。(残り二つは上野の西郷隆盛像と、靖国神社の大村益次郎像)
像の正面は「記文」がはめ込まれている側になりますが、像の顔は正面とは反対側の皇居側を向いています。
これは皇居に対して顔を背けるのは失礼にあたるという理由によるもの。像の正面から見て顔が反対側を向いているという、珍しいつくりの銅像でもあります。
ここ皇居外苑の一角に楠木正成像が立てられたのは、1900年7月。
大阪の富豪「住友友忠」が、住友家の基礎をつくった祖先が別子に銅山を切り開いて以来ちょうど200年に当たることから、記念事業として宮内省(現宮内庁)に献納することを志しました。
友忠は明治23年に東京美術学校(現東京芸大)に制作を依頼。
別子銅山の銅を用いて、高村光雲(たかむらこううん)、山田鬼斎(やまだきさい)、岡崎雪聲(おかざきせっせい)などにより、10年を費やし完成しました。
明治26年に木彫の原型が完成した際は吹上御苑内に組み上げ、明治天皇の天覧に達したそうです。
明治29年に像は完成しましたが、その時すでに友忠は死去していたので、その子住友吉左衛門が遺志をつぎ、これを建設しました。
元弘3年(1333)に、隠岐から還幸途次の後醍醐帝を兵庫の道筋でお迎えした折の勇姿を象った楠木正成像。
馬上でうやうやしく敬礼したとき、勢い余った馬が少しおどり上がったところを模したこの姿は、どの角度から眺めてもバランスのとれた躍動感あふれる美しさが感じられます。
皇居外苑を訪れた際は、是非一度、クロマツ林の広がる皇居外苑に佇む、建武中興の忠臣「楠木正成像」の姿をご覧になってくださいね!
楠公レストハウスで江戸時代の味に舌鼓
→http://fng.or.jp/koukyo/service/nanko-restaurant-menu.html#ippan
2016年2月10日 09:05