大温室のバックヤードツアーを開催しました

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 数日前までは真夏が来たかのような汗ばむ気温でしたが、本日は一転、水気を含んだひんやりと涼やかな風が園内を吹き抜け、過ごしやすいお天気となっています。遠足のお子様がたくさんご来園されて、にぎやかな声が園内に響き渡っています。
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 5月最終日の本日、大温室バックヤードツアーを開催しました。
 
 毎回、温室植物や管理方法などにご興味のあるお客様が、多くご参加される大好評の大温室バックヤードツアー。通常は非公開のバックヤード(栽培所)を特別公開し、担当職員がガイド役を務め、新宿御苑の温室の歴史や魅力、貴重な洋ランや絶滅危惧植物等の栽培の取り組みについてご紹介しました。
 現在、新宿御苑の大温室では約2,700種の植物を保有しており、そのうち約1200種がランの仲間です。植物は定期的に展示を行っておりますが、バックヤードではこうした植物の栽培や管理を日常的に行っています。
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 まず、大温室・特別室2で現在進行中のプロジェクトについてご紹介しました。この特別室2では現在、オオバシマムラサキという小笠原の植物を育てています。絶滅が心配されているオガサワラシジミチョウはこのオオバシマムラサキの花芽にだけに卵を産み、花を食べて育つチョウです。多摩動物園で、オガサワラシジミチョウを飼育していますが、リスク分散のため新宿御苑の大温室でも飼育することになりました。チョウは卵を産んで成虫になるサイクルを1年に3サイクルするので、常にチョウが食事をとれるように一年中花が咲く環境にする為に、挿し木をしていろいろな成長段階のオオバシマムラサキを育てています。
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【写真↑:大温室内にあるオオバシマムラサキ】
 
 特別室2を出ますと次は、普段皆様が立ち入ることのできない栽培所へご案内です。
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 バックヤードでは、新宿御苑で作出された貴重な蘭や絶滅危惧種など様々な植物を栽培しています。
 沖縄や小笠原の植物を中心に、レッドリストの絶滅危惧Ⅰ類・Ⅱ類指定の約140種、ワシントン条約(CITES)対象種700種以上の絶滅危惧植物の保護栽培を行っています。
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【写真↑:オリヅルスミレ:野生絶滅(EW)】
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【写真↑:ハナシノブ:絶滅危惧ⅠA類(CR)】
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【写真↑:リュウキュウベンケイ:野生絶滅(EW)】
 
 新宿御苑は、社団法人日本植物園協会の植物多様性保全拠点園として植物園自然保護国際機構(BGCI)が定める「植物園の保全活動に対する国際アジェンダ」の登録園として、絶滅危惧植物の生息域外保全に取り組んでいます。
 日本には200を超える植物園やそれに相当する施設がありますが、植物園の役割は美しい花や珍しい樹木を紹介するだけではありません。
近年は絶滅危惧植物を紹介し、より多くの人々に関心と理解を深めてもらうため、保護栽培や調査など、植物を絶滅から守る取り組みにの活動にも力を入れています。野生絶滅した植物を大切に栽培し保護していくことも、植物園の大切な役割のひとつとなっています。
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 種子は植物そのものに比べて小さいため、取り扱いがしやすく、場所を取らずに保管することができます。バックヤードでは、種子の発芽実験を行い、環境や条件を少しずつ変えて、発芽するかどうか試しています。ワタラセツリフネソウは河川敷の近くと涼しい環境の中で自生しているため、冷たい空気にあててみたところ、見事に発芽しました。
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【写真↑:左側が冷気にあてたもの】
 
 洋ランの栽培エリアでは、パフィオペディルムの水やりの注意ポイントの説明がありました。葉の根元に少しでも水が貯まると、すぐに枯れたり変色してしまうので、ひと鉢ひと鉢そっと水やりをしないといけない繊細な蘭です。鉢の多さに、お客様はとてもびっくりされていました。
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 現在、大温室・特別室1では、6月9日(日)まで、環境月間特別企画「日本絶滅危惧植物展」を開催しています。新宿御苑へお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。
 
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■日本絶滅危惧植物展■
【会期】2019年5月28日(火)~6月9日(日)
【会場】新宿御苑 大温室 特別室1
【時間】9:30~16:30
 
■次回 大温室バックヤードツアー■
【日程】2019年6月6日(木)
【時間】11:00~ (所要時間45分程度)
【受付】大温室正面入り口前 10:30~受付開始
【定員】先着20名

2019年5月31日 17:28

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