連日気温が30℃近くまで上がり、夏が戻ってきたかのような気候となっています。ご来園されたお客様は、日向を避けて日陰の多い外周園路やイギリス風景式庭園の巨樹が作り出す木陰にレジャーシートを拡げてピクニックするなど、休日をのんびりと過ごされていました。
「新宿門の近くの大木のプラタナスは何歳くらいなの?」とお客様よりインフォメーションセンターにお問い合わせがありました。街路樹などでよく見かけるプラタナスですが、新宿御苑が発祥の地となっているのをご存知ですか?
園内のプラタナスは、明治20~30年代に日本で初めて新宿御苑に植えられた国内で最も古い歴史のある木といわれています。
プラタナスとは、スズカケノキ科スズカケノキ属の植物の総称のことで、スズカケノキ、アメリカスズカケノキ、モミジバスズカケノキの3種類の木が「プラタナス」と呼ばれています。新宿御苑のプラタナスは、ほとんどがモミジバスズカケノキで、園内各所に約220本あります。
新宿門近くの大木もモミジバスズカケノキで、枝を伸び伸びと伸ばし、どっしりと佇んでいます。幹の太さは約6m30cmで、大人5~6名が腕を伸ばしてやっと取り囲める太さまで生長しています。
こちらは、新宿門から入られて園内の一番奥に位置するフランス式整形庭園。フランス式整形庭園は中央にバラ花壇、左右にプラタナス並木が4列配された庭園です。整列して植栽されたプラタナス並木は全長は約160メートルあり、約160本ものモミジバスズカケノキが植栽されており圧巻です。
日差しの厳しい夏は、木蔭が作られクールスポットに、秋の紅葉シーズンや冬の冬木立姿は、写真の被写体になど、四季折々に魅力的な姿を魅せてくれるプラタナス並木です。毎年恒例の新宿御苑フォトコンテストでも、魅力あるプラタナス並木の作品が多く届きます。
プラタナス並木の木は新宿門近くの木に比べて、天にすらっと伸びていて細身です。実は、新宿門近くに植栽されている木と同い年なんです!
生長の違いは、育った環境にあります。
新宿門近くの木は、手を加えず自然のまま自由に枝を伸ばし生長しましたが、プラタナス並木の木は毎年冬に伸びた枝を剪定して樹形を整えています。
(冬のプラタナス並木)
巨樹を巡りながら、歴史の息吹を感じてみませんか?
【新宿御苑の巨樹の歴史を知ろう! 過去の記事はこちら】
>>第1回「ユリノキ」 >>第2回「タイサンボク」
>>第3回「ラクウショウ」 >>第4回「ケヤキ」
2017年9月10日 14:10