新宿御苑の歴史的な樹木をご紹介するシリーズ。
第8回となる今回は、マロニエ(Marronnier)の名でも親しまれる「セイヨウトチノキ」をご紹介します。
(写真:名木10選のセイヨウトチノキ/千駄ヶ谷門付近モミジ山外周)
【新宿御苑の歴史的巨樹をめぐる 過去の記事はこちら】
>>第1回「ユリノキ」 >>第2回「ハクモクレン」
セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)はムクロジ科(旧トチノキ科)の落葉高木。
初夏にクリーム色の花が咲いたあと、秋に果実が熟します。
昨日ご紹介したトチノキの仲間ですが、名前の通りヨーロッパが原産地です。
バルカン半島からトルコにかけた一帯に自然分布しますが、ヨーロッパを中心に世界各地で街路樹としてもよく植えられています。
とくに、フランス・パリのシャンゼリゼ通り(L'Avenue des Champs-Élysées)の並木道が有名ですね。
漢字では西洋栃の木と表しますが、これは日本に自生するトチノキに対して、ヨーロッパ(西洋)原産のトチノキであることにちなみます。
フランス語のマロニエ(Marronnier)の名でも知られていますが、こちらは種子がクリの実(マロン)に似ていることから名付けられたそうです。
新宿御苑には、モミジ山外周(千駄ヶ谷門近付近)に1本のセイヨウトチノキが生育しています。
樹高は17メートル、幹回りは153センチにまで生長しており、『新宿御苑 名木10選』のひとつにも選ばれています。
見分けるポイントのひとつが秋にできる果実です。どちらとも丸い形をしていますが、つるんとしたトチノキに対して、セイヨウトチノキの果実にはたくさんのトゲがあります。
まるでイガグリのようにも見えますね。
(写真:昨年に熟した果実と、中に入っている種子)
セイヨウトチノキのすぐそばには、マロニエの名の由来にもなった、クリの木も生育しています。
先日の台風の影響か、緑色の実も地面に落ちていました。未熟なため、まだイガイガがやわらかいものの、形はすでに立派なイガグリになっていますね。
ぜひ、マロニエとクリを見比べながらの観察もお楽しみください。
(写真:旧洋館御休所前のユリノキ付近)
台風一過でしょうか。今日もすっきりとした青空と、気持ちよい涼風が心地よい一日となりました。
さんさんと降りそそぐ日差しの下はじんわりと汗ばむほどの陽気ですが、木陰に足を踏み入れると、すっと汗もひくさわやかさです。
今日から9月。青葉きらめく夏から、みのりの秋へと、季節がだんだんと移り変わってゆくのが感じられますね、
秋めく新宿御苑へ、歴史ある樹木たちに会いに来てみませんか?
2016年9月 1日 11:00