いきものの不思議&ミニ知識  その2 カモの「換羽」について

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 新宿御苑の池では、11月頃からシベリアや中国大陸北部などから渡って来るマガモ、オシドリ、ホシハジロなどのカモたちが羽を休めており、特に中の池では、たくさんの種類のカモを一度に見ることが出来ることから、今日もお客様がカメラを構えていらっしゃいました。カモたちを見ていると、種類によって色が違うのはもちろん、オスとメスでも色や大きさが違います。お客様からも「どうして、オスとメスの羽が違うの?」、「いつも、オスはきれいな羽ですか」とのご質問が多く寄せられましたので、本日は、カモの羽の色、換羽について、ご紹介します。

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(写真:オシドリのオスとメス)

 マガモやオシドリなどのオスは、とても羽の色合いが美しく、写真や絵を描いたりするときのモデルとしてもよく使われています。ではなんでオスだけ綺麗な色をしていてメスは地味なのでしょうか?

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(写真:マガモのオスとメス)

 まずオスの美しさはメスの気を引くためのものです。メスはできるだけ体が大きく力の強そうなオスや、美しい羽のオスを選びたがります。なぜなら、オスの羽の美しさは自然界ではとても目立ち、外敵に襲われやすくなることから、外見の美しさは外敵から襲われていない、よいえさを食べている強いカモの証拠になり、メスが選ぶ“いいオス”の一つの基準になるからです。

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(写真:キンクロハジロのオスとメス)

 逆にメスが地味な色をしているのは、外敵から目立たない為です。卵を産み、育てるメスは外敵に襲われては一大事。子孫を残すことが出来なくなってしまします。そのためメスは周りに溶け込むように、目立たない地味な色をしているのです。

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(写真:ホシハジロのオスとメス)

 ではいつごろからオスは美しい羽を身にまとうのでしょうか?冬や夏に犬や猫の毛が生え変わるように、カモにも「換羽」と言って、羽が生え変わる時期があります。この「換羽」は、晩春から初夏にかけての親鳥が卵を抱きかかえて温めはじめる時期と同じ頃にはじめます。その時期にオスのマガモなどを見ると、ほとんどメスと変わらない容姿をしています。

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(写真:オナガガモのオスとメス)

 この換羽の時期は、メスは子育てに集中しており、オスはメスに対する求愛行動をする必要もなく、オスメスともに他の土地へ渡る必要もないので、羽が抜け落ちてもあまり飛ぶ必要性がないので問題ありません。ちなみに、羽が抜け落ちるといっても、すべての羽が抜け落ちるわけではなく、一定の順序で抜けかわり更新してきます。

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(写真:トモエガモのオス)

 子育ても終えると、越冬と新たな恋を求めて、渡りを行います。渡りには、多くのエネルギーと危険をともなうので、新羽を整えます。ここでオスは、越冬地での新たな恋に備えて、綺麗な羽になるのです。

 現在、新宿御苑で羽を休めている渡りのカモたちは、2月いっぱい位はご覧いただけそうですので、園内散策の際にはカモの観察もいかがでしょうか。

2016年1月27日 12:02

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