来月11月1日より始まる皇室ゆかりの菊花壇展も、公開まで残すところあと10日となりました。年に一度の晴れ舞台に向けて、会場となる日本庭園ではその準備が着々と進んでいます。
こちらは懸崖作り花壇の作業の様子です。
懸崖作り花壇は竹と木の素材をいかしたよしず張りの上家に、30鉢の大中小の山菊懸崖作りを、野趣にとんだ古木の花台の上に配色よく並べた花壇です。現在その上屋となる建物が建てられています。
お客さまからしばしば「上屋は展示のたびに作っているんですか?」という質問をいただきますが、新宿御苑菊花壇展の上屋は毎年、技術ある職人の手によって、竹や木材をもとに一から作られています。菊花壇展ではつい艶やかな菊花に目を奪われがちですが、この上屋も日本の伝統的な職人技の美しさが随所に感じられます。
作業中に「もう少し新宿!」「もう少し山!」という声が聞かれますが、「何のことかしら?」と不思議に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは方向をあらわすかけ声のこと。「左」や「右」では位置によって方向が変わってしまうので、新宿御苑では菊花壇の植え込み作業をする時に「四谷」「新宿」「山」「池」という言葉で方向を表わしています。
一文字菊・管物菊花壇、大菊花壇では、上屋の中の菊の植え込み作業を行っています。
展示用の菊は、菊担当の専属職員が園内の栽培所で一年かけて作り上げたもので、植え込む際に日本庭園へ運び込みます。
花は切り花にするのではなく、鉢ごと土の中に植え込み、菊花壇を作り上げます。
新宿御苑の秋を代表する行事、皇室ゆかりの菊花壇展。
よしずで覆われた上家の中では、菊の花々が静かに舞台の幕開けを待っています。一年に一度の風情あふれる伝統の菊花壇展をぜひお楽しみください。
菊花壇展会期中は特別開園期間として月曜日も休まず開園します。みなさまのご来園を心よりお待ちしています。
■菊花壇展■
【会期】平成27年11月1日(日)~11月15日(日)
【時間】9:00~16:00(閉園16:30)
※会期中は月曜日も休まず開園します
【場所】日本庭園
■菊花壇解説展■
新宿御苑の菊花壇展の歴史や魅力、日仏文化交流事業を資料をまじえて分かりやすくご紹介します。
【会期】平成27年11月1日(日)~11月15日(日)
【時間】9:00~16:30
【場所】新宿御苑インフォメーションセンター1階アートギャラリー
2015年10月21日 15:14