7月19日の梅雨明けから一気に気温が上がり、連日さんさんと日差しの降りそそぐ真夏の陽気が続きます。今日は雲の多い空模様のためか、やや暑さがやわらぎ、木陰を通り抜ける風が心地よい一日となりました。
まもなく8月になりますが、新宿御苑では日を追うごとにセミたちの合唱が大きくなってきました。緑の木々の枝間に太陽がきらきらと輝き、地面に木漏れ日を描く母と子の森。降りしきるセミの声が、夏気分をたっぷりと感じさせてくれます。
「チーチーチー…♪」
「ミーンミーンミーン…♪」
「ジージージリジリジリー…♪」
セミの声とひとくちにいっても、よくよく聞き分けてみると、いろいろな声が聞こえてきますね。いま園内でよく鳴いているセミは3種類になります。
(写真:セミの抜け殻)
「チーチー…♪」と鳴いているのはニイニイゼミです。御苑のセミのトップバッターで、梅雨も明けないうちから鳴きはじめます。ほかのセミより一回り以上も小さく、体の色は樹皮そっくり。近くにいてもなかなか見つけられないほど、かくれんぼ上手なセミです。
「ミーンミーンミーン…♪」と鳴いているのはミンミンゼミ。透明な羽と、緑色のまだら模様の体が特徴です。次にご紹介するアブラゼミと並んで、御苑ではとくに数が多いセミのひとつです。
「ジージージリジリジリー…♪」と鳴いているのはおなじみアブラゼミ。茶色い羽とよく響く声が特徴です。
これまでにご紹介したニイニイゼミ、ミンミンゼミは、鳴き声の音色そのままの名前が付いていますが、アブラゼミだけ鳴き声ではないのでしょうか?
いいえ、じつはアブラゼミの名前も「鳴き声」にちなんだもの。「ジージー…♪」という鳴き声を、天ぷらを揚げる音にたとえたことから「油蝉」の名前が付けられたといわれています。
セミたちは小さな体からは想像もできないくらいの大ボリュームで鳴きますが、声の主を探そうとしても見つけられないということもしばしば。セミを探すときは、よくよく目を凝らしながら、横向き姿や、木を下から見上げて探すのが、うまく見つけるコツです。
「もっと近くでセミを見てみたい!」という方は、新宿門横のインフォメーションセンターへぜひお越しください。セミをテーマにした展示コーナーで、本物のセミの標本や抜け殻を近くでじっくりと観察していただけます。
(写真:いろんなセミの抜け殻くらべてみてね♪)
四季のある日本において、梅雨明けとともに鳴きはじめるセミは夏の到来の象徴でもありました。昔も今も変わらず、日本の夏の風物詩として親しまれるセミ。都会のオアシス・新宿御苑で、日本の夏を彩る蝉時雨に耳をかたむけながら、森の中をお散歩してみませんか。
2015年7月28日 13:13