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庭園を守るお仕事通信9月号【菊班】

庭園を守る取り組み

本日は庭園管理業務のひとつ「菊栽培」にスポットをあて、菊班の9月の作業から「伊勢菊の仕立て」をピックアップしてご紹介します。

伊勢菊は嵯峨菊、丁子菊とともにひとつの花壇に飾られる古典菊で、伊勢地方(現在の三重県松坂)などで発達しました。古来は座敷に正座をして鑑賞する習わしがあった菊です。咲きはじめは縮れている花びらが、咲き進むと共にピンと伸び垂れ下がるのが特徴です。

6月に定植した株は順調に成長し、今月は本花壇に植えられるように仮の支柱を外し、本番用の細い針金に仕立て直します。
伊勢菊は箒(ほうき)作りという技法で仕立てられ、中央に1輪、周囲に6輪の花を咲かせます。茎をまっすぐに見せるために、茎に沿わせるように支柱が7本立っています。


太くて背の高いしっかりした枝を中央にします。後ろから前に来るほど背丈は低くなるので、場所に見合った枝を見極めると共に、針金が目立たないように、枝が手前に来るように仕立てます。下の方から順に針金に沿わせて、浮いているところをラフィア(ヤシの葉を加工した紐)で結んでいきます。強く結ぶと折れてしまい、弱いと茎が歪んでしまうので、絶妙な力加減が必要です。この作業を7本分繰り返します。

枝によって向きや高さはさまざまで、これから11月に向けてさらにまだ丈が成長します。思ったように育たないのが植物の常。そのために、予備の枝をまとめて仮止めして、残しておきます。
最後に1本の茎に見えるように根元にラフィアを結んで完成です。

伝統を引き継ぎながら日々の経験を活かし、丹精を尽くして作業は行われます。10月になるといよいよ準備も大詰めです。11月の菊花壇展が楽しみですね。

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