新宿高校の特別授業に講師協力を行いました
2021年5月19日(木)、都立新宿高校の「総合的な探究」の授業が体育館において行われました。
新宿高校の一年生は探究活動の取り組みのひとつとして、内藤とうがらしや新宿御苑を通して、地域の人々と交流し、社会生活を営むための必要な力を身につけることを目的としています。
一学年319名の生徒の皆さんに「内藤とうがらし」「新宿御苑」をテーマにした特別授業と、内藤とうがらし苗の配布を行いました。
まずはじめに内藤とうがらしプロジェクトの成田重行さんの授業です。
成田さんは内藤とうがらしを現代に復活させた地域開発プロデューサーです。
地域、学校、企業、官公庁と協力して、内藤とうがらしの歴史や食べ方、活用方法などを研究、紹介する普及啓発活動に取り組んでいます。
内藤とうがらしは、新宿御苑が徳川家康の家臣・内藤氏の下屋敷だった江戸時代に菜園で栽培がはじまり、新宿一帯へと広まっていった伝統野菜です。
江戸の町でそばが流行すると、薬味としてすっきりとした辛さの内藤とうがらしが人気となりました。その後、宿場町の内藤新宿近郊の農家で生産者が増えると、四谷から大久保にかけて、収穫期にはあたり一帯に真っ赤なじゅうたんを敷き詰めたような景色が見られたそうです。
江戸の都市化にともない、いったんは栽培が途絶えてしまいましたが、平成20年(2008)の内藤とうがらしプロジェクトの誕生により、復活の取り組みが始まりました。
成田さんの活動は、2014年に新宿区の小学校でとうがらしの授業を始め、今では高校、大学へと活動の場が広がっています。歴史を知り、理解し、共感し、行動することで内藤とうがらしが広まってほしいと考えています。
内藤とうがらしエンパシープログラム2021として、映像を使って説明し、新宿高校の生徒のみなさんには、内藤とうがらしを育てることで自分を発見してほしいと話しました。
>>内藤とうがらしプロジェクト公式ホームページ
次に、内藤とうがらし生産者である冨澤ファームの冨澤剛さんが配布した苗の植え方を紹介しました。冨澤さんは東京都三鷹市でさまざまな野菜作りを行う農家の方で、毎年、内藤とうがらしの栽培も行っています。
晴れた日には、毎日2ℓの水を1分かけて水やりするなど、育て方のポイントを解説しました。
最後に、国民公園協会新宿御苑の本荘暁子が「新宿御苑と新宿高校~歴史・自然・文化~」をテーマに授業を行いました。
新宿御苑と新宿高校は歩いて数分という距離にありますが、じつは大正時代からの深いつながりがあります。新宿高校は1922年(大正11)に府立第六中学校として開校しましたが、その校舎はかつて新宿御苑の敷地内にありました。また、新宿高校の校章は、新宿御苑の菊の葉をモチーフにした意匠となっています。
現在でも、授業や部活の一環として、多くの生徒さんが新宿御苑内でボランティア活動を行っています。
歴史の授業においては、新宿御苑の歴史を、内藤家の江戸屋敷だった江戸時代、農業試験場があった明治時代、皇室庭園としての大正時代、国民公園としてひらかれた昭和時代の4つに分けて、それぞれの時代における新宿御苑の説明をしました。
続いて、明治時代に新宿御苑から全国に広まった樹木、フランス人造園家によりデザインされた庭園様式、菊花壇展や洋ラン栽培の歴史についてご紹介しました。
最後に、生徒のみなさんが関わったボランティア活動やイベントの紹介をしました。
授業の後は内藤とうがらしの苗をひとりに一鉢ずつ配布しました。
この苗が大きく育って真っ赤に実り、新宿御苑での活動を通じて、生徒のみなさんがそれぞれ何かを発見できるお手伝いになれば幸いです。
私たち国民公園協会では、これからも地域の皆さまと連携して、多くの人々に愛される新宿御苑を守る取り組みを進めてまいります。
▼新宿高校ホームページでご紹介いただきました
>>新宿高校【5月19日】1年次特別授業(今日の新宿)