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深まる秋を楽しもう♪10/27~11/9は読書週間です

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 10月27日から11月9日の二週間は「読書週間」です。これは多くの人に読書の楽しさや素晴らしさに触れてもらうために設けられたもので、そのルーツは大正13年(1924)に日本図書館協会が制定した「図書週間」に始まり、戦後間もない昭和22年(1947)より「読書週間」として再開しました。

 2018年の読書週間の標語は「ホッと一息 本と一息」。秋の読書週間の期間中は、全国各地の図書館や書店などでさまざまな催しが行われています。

 木々がほんのりと色づきはじめた新宿御苑では、池をトンボが飛び交うほか、ときおりモズの高鳴きが響き、日を追うごとに秋が深まってきたのが感じられます。

 秋といえば、食欲の秋や読書の秋、芸術の秋といった言葉が聞かれますね。美味しい味覚も多く、気候もおだやかな秋は、食や趣味を深めるのにもピッタリの季節。園内でも写真や読書、スケッチ、詩吟など、思い思いに過ごすお客様の姿がよく見られます。

 カメラに親しむ恒例行事「新宿御苑フォトコンテスト」でも、園内で趣味を楽しむ人を主役にした作品が数多く入賞しています。

■新宿御苑フォトコンテスト入賞作品

「知の空間」津布久 郁夫さん(撮影日:11月5日 場所:風景式庭園)

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>>2018新宿御苑フォトコンテスト作品を募集しています<<

 今日は読書週間にちなみ、「本」に関わりのある植物にスポットをあてて、人々との関わりや歴史エピソードなどをご紹介したいと思います。

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(写真:大温室近くのユリノキ)

 まずは「本」という漢字の成り立ちにご注目。「木」の下部に「一」を加えた形をしていますね。これで木の下部、つまり「根・根本(ねもと)」を表す言葉となりました。草や木は、地上では色々な形に生い茂りますが、普通は根はひとつしかありませんね。ここから、草木を数える単位として「本」が使われるようになり、やがては細長いものを数える言葉となったそうです。

 また、「根本(ねもと)」は「根本(こんぽん)」にも通じることから「もとの」「はじまりの」といった意味も持ちました。印刷技術が未発達の時代は、書籍はすべて手で書き写すものでした。そのときの「もと」になる方を「本」と呼んだことから、日本では本が書籍のことを表すようになったといわれています。

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(写真:園内売店では御苑の魅力を楽しむさまざまな書籍をご紹介しています)

 木と本のつながりは日本のみならず世界にも見られます。英語の「Book」やドイツ語の「Buch」は古代ゲルマン民族のブナの木を表す言葉にちなみ、フランス語の「livre」やスペイン語の「libro」はラテン語の「liber(木の内皮)」という言葉にちなむそうです。これらの言葉は、古くは木の皮や薄板に文字を書いたことに由来すると考えられています。

 それでは本のない時代はどうだったのでしょうか?

 歴史をさかのぼってゆくと、古代においては人が生きた本となり、人から人へと歴史や伝統を伝えてゆきました。しかし、人の記憶だけでは限界があるので、やがてさまざまな記録媒体が誕生しました。

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 たとえば古代エジプトでは、ナイル川の岸部に自生するカミガヤツリという植物を使ってパピルス(Papyrus)と呼ばれる紙を作りました。

 新宿御苑では大温室でご覧いただけます。

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 その後、パピルスは英語やフランス語、ドイツ語の「紙」の語源にもなりました。アフリカで今でも舟や家をつくる材料としてカミガヤツリが使われているそうです。

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(写真:大温室)

 それでは日本はどうしていたのでしょうか?

 日本の歴史においては古くから「紙」で作られた「和書」が登場します。日本書紀には610年に既に絵具・紙・墨を作っていたと記されているそうです。

 現存する最古の本は7世紀初めに聖徳太子が自筆した書籍とされていますが、その他にも奈良時代以来の本が数千点も残っています。千年以上も前の紙製の本がこれほど多数残されているのは世界でもあまり例がないそうです。

 本が長く保存できた秘密は、日本で作られた「和紙」にあるといわれています。

 和紙は現代においても、日本紙幣をはじめ、便箋、水引、包装紙、団扇、障子、提灯、襖、しめ縄など、私たちの身の回りのものに使われています。

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 つるつるした質感の西洋紙に比べると、和紙はざらざらした質感が特徴ですね。質感の違いは紙を作る原料や工程の違いによります。

 私たちが普通よく目にする印刷用紙は広葉樹や針葉樹が主な原料になっています。それに対して、和紙はミツマタ(三椏)やコウゾ(楮)、ガンピ(雁皮)といった植物が原料に使われています。

 新宿御苑では、旧洋館御休所前でミツマタをご覧いただけます。

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 原料となる植物の収穫に始まり、蒸して皮をむき、晒し、皮剥ぎ、煮る、叩く、手漉き、乾燥という、いくつもの工程を経て、一枚一枚作られます。

 和紙は作る手間がかかる分、西洋紙に比べて高価で大量生産も難しいのが難点ですが、繊維が太いため強度が高く保存性に優れるという特徴があります。

 日本の伝統的な紙作りの技術が、今日まで残る貴重な歴史史料の保存に役立っていたことが分かりますね。

 園内売店では日本の和紙柄や伝統柄をモチーフにしたグッズもご紹介しています。

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(写真:大木戸休憩所売店)

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 秋深まる新宿御苑でほっと一息。お気に入りの一冊をおともに、読書の秋を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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