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こどもの日にちなむ植物や生きものを観察してみよう

初夏のみどころ

 本日5月5日は「こどもの日」です。国民の祝日のひとつで「こどもの人格を重んじこどもの幸福をはかるとともに母に感謝する日」として1948年に定められました。

 新宿御苑は本日「こどもの日」にちなみ、小中学生の入園料が無料となっています。

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 「こどもの日」は、古くは「端午の節句」といって、平安時代に中国から伝来したのがはじまりとなっています。

 もともとは男の子の健全な成長を祝う日で、現在も五月人形やこいのぼり、兜を飾る風習がありますね。近年では男の子も女の子も一緒にお祝いする日として親しまれているようです。

 (写真:プラタナス並木)

 さて「こどもの日」や「端午の節句」の行事には、さまざまな植物や生きものが登場しますね。御苑の日本庭園には、そんな「こどもの日」にちなんだ植物や生きものがたくさん集まっています。

 今日は「こどもの日」にちなみ、日本庭園で観察できる植物や生きものをご紹介したいと思います。

 (写真:日本庭園)

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 1つ目は、初夏の空を泳ぐ「こいのぼり」でおなじみの生きものの「コイ(鯉)」です。

 日本庭園の上の池をはじめ、園内の池には数十匹ものコイが暮らしています。

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 日本では、端午の節句に「こいのぼり」を立てるようになったのは江戸時代からといわれ、そのルーツは中国の登竜伝説にちなみます。

 伝説では、中国の黄河にある竜門と呼ばれる激流を、多くの魚たちが登ろうとしましたが、鯉だけが登り切って竜になることができたそうです。この伝説から鯉は立身出世の象徴となりました。

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 (写真:空を泳ぐこいのぼり※園内にこいのぼりはありません。)

 2つ目は、お餅をカシワ(柏)の木の葉っぱで包んだ「柏餅(かしわもち)」です。

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 カシワの葉で包むお餅には、白餅やよもぎ餅、中に入れる餡子にも小豆あんや味噌あんなど、地域によってさまざまなバリエーションがありますね。

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 カシワは、新しい芽が出て大きく育つまで古い葉が残り続けます。このことから「子供が無事に育つ」「家系が途絶えない」という意味を持ちました。

 また、古くから神が宿る神聖な木とされ、「柏手を打つ」という言葉も生まれました。

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 日本庭園の旧御凉亭近くにカシワを植栽しています。(※カシワの木は植え込みのなかにあるので、植え込みの外よりご覧いただけます。)

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 3つ目は、もち米やうるち米のお餅を植物の葉っぱで三角形に包み、葉っぱごと加熱して作る「粽(ちまき)」です。

 包むのに使うは葉っぱはササや茅(チガヤ)、竹、ワラなどさまざまな植物が使われています。

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 (写真:クマザサの葉)

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 日本庭園のお茶室「楽羽亭」前の巨樹・ハクモクレン下などにはササの仲間の「クマザサ(隈笹)」を植栽しています。

 ちまきは「端午の節句」とともに中国から伝わったものとされ、関西を中心に広まりました。ちまきは端午の節句のルーツとなる逸話に登場します。

 古代中国で、国民から慕われた屈原(くつげん)という詩人がいましたが、陰謀で失脚し、5月5日に川に身を投げてしましました。屈原の死を悲しんだ国民達は、川に供物を投げ入れて弔いましたが、屈原のもとに届く前に悪い龍に盗まれてしまいます。すると、屈原の幽霊が川のほとりに立ち、「供え物を捧げてくれるのはありがたいが悪龍に盗まれてしまう。そこで悪龍が嫌いな楝樹(れんじゅ)の葉で餅を包み、五色の糸で縛って欲しい」と伝えたそうです。

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 このことから、粽(ちまき)が誕生し、5月5日にちまきを作って無病息災を願う「端午の節句」となりました。

 また、供え物のちまきに結ぶ五色の糸は、邪気を払う「赤・青・黄・白・黒」であり、これは「こいのぼり」の吹流しの色となっていきました。

 (写真:クマザサの葉)

 最後にご紹介するのは菖蒲湯で知られる「ショウブ(菖蒲)」です。ショウブの根や葉をお風呂に入れて入ると、身体が丈夫になり、暑い夏も健やかに過ごせると考えられました。また、「菖蒲」を「尚武(しょうぶ)」という言葉にかけて、男の子の誕生と成長を祝いました。

 さて、ここで登場する菖蒲湯に使うサトイモ科のショウブは、母と子の森に植栽しています。

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 「ショウブ」というと、これから花が咲くアヤメ科の「ハナショウブ(花菖蒲)」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、菖蒲湯に使うのは葉っぱがよく似たサトイモ科の「ショウブ(菖蒲)」になります。

 ここ日本庭園の上の池周辺にはアヤメ科の「ハナショウブ(花菖蒲)」を植栽しています。

 古くから伝わる日本の風習には、四季折々の植物や生きものと結びついたものが数多くあります。

 新宿御苑の自然を通して、日本の文化を身近に感じてみてはいかがでしょうか。

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