お知らせ

新宿内藤とうがらしサミットが開催されました

イベント・セミナー

 本日9月27日、新宿内藤とうがらしフェア実行委員会が主催する「新宿とうがらしサミット」が学習院女子大学で開催されました。新宿ゆかりの江戸東京野菜である内藤とうがらしをテーマに、活動に取り組む地域の学校やNPOが集まり、栽培研究や学習の成果を発表しました。

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 江戸東京野菜のひとつである内藤とうがらしは、内藤かぼちゃとともに、この新宿御苑の地で誕生しました。江戸時代の御苑は高遠藩主の内藤家の下屋敷でした。敷地内でとうがらしの栽培がはじまると、おそばブームとともに薬味として大変な人気となり、やがて周辺の農家でも栽培されるようになりました。実がなる秋には、新宿から大久保にかけての地一体が、真っ赤なじゅうたんを敷いたような景色が見られたほどだったそうです。

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 昭和以降の農地の減少でいったんは姿を消してしまいましたが、平成21年(2009)にNPO法人スローフード江戸東京が「内藤とうがらし復活プロジェクト」をスタートしました。一度は絶滅した内藤とうがらしの種探しから栽培、研究を重ねた後、本格的な活動が始まりました。現在では、地域での苗の配布や商品開発など、内藤とうがらしの取り組みの輪が広がっています。

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 とうがらしサミットでは、まず、新宿区長の吉住健一氏より、内藤とうがらしは新宿の歴史的価値のシンボルであるとともに、近年、注目を集める地産地消の一環でもあることから、内藤とうがらしプロジェクトのますますの発展を祈念するとの祝辞が述べられました。

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 続いて、学習院常務理事の耀英一氏から、地域学校での取り組みがさらに広まることに期待をよせるとともに、今後も学校内の菜園の活用など、いろいろな面で内藤とうがらしプロジェクトを応援してゆきたいとのご挨拶をいただきました。

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 次に、江戸東京・伝統野菜研究会代表の大竹道茂氏が基調講演を行いました。まず、今年の9月に新たに「滝野川大長にんじん」「八王子ショウガ」が江戸東京野菜として認定され、江戸東京野菜が42品目になったとのニュースが伝えられました。

 内藤とうがらしをはじめとする江戸東京野菜の最大の特徴が、現在、主流な交配種ではなく、種を採れる固定種であるということです。野菜が持つ独自の歴史的エピソードはもちろん、種を採ることで「命がつながってゆく」ことを体感する食育活動としても活用されている学習事例が紹介されました。

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(写真:『内藤とうがらし復活物語』を紙芝居で紹介。時代を超えて「内藤とうがらし」の歴史が今へとつながっていることが分かりました。)

 続いて、新宿地域の各学校の栽培の取り組みや学習活動の報告会が行われました。

■四谷小学校

「受け継がれてきた四谷」

 「内藤とうがらしについて調べよう」をテーマに、四谷の歴史を調べて四谷歴史新聞を作りました。また、自分たちに何ができるかを考え、内藤とうがらしを紹介するパンフレットも作りました。地域の大人たちにも見てもらって、もっとよりよいパンフレットにしていきたいです。

■西新宿小学校

「内藤とうがらしと内藤かぼちゃを広めよう」

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 どうして江戸東京野菜がいまは見られなくなったのか、「育てる」と「調べる」の2つの視点から学習しました。育てた内藤かぼちゃと西洋かぼちゃを食べ比べると、いまの料理方法は西洋かぼちゃを美味しく食べる方法だと分かりました。内藤とうがらしと内藤かぼちゃの良さをいかした、美味しいレシピをこれから見つけてゆきたいです。

■都立園芸高等学校

 都立園芸高等学校では授業で15年前の大蔵大根の種の栽培を行っていますが、課題研究として内藤とうがらしの栽培を行いました。生育不良やアブラムシ、雑草対策など、栽培のポイントやアドバイスを紹介しました。収穫した実は味比べ実験や種取りに活用してゆきたいです。

■大久保小学校

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 内藤とうがらしの苗の栽培と観察、収穫を行いました。苗を育てて分かった内藤とうがらしの特徴や、これまでに収穫したとうがらしで作った作品や料理を紹介しました。

■新宿調理師専門学校

「内藤とうがらし 収穫~葉とうがらしの佃煮の作り方」

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 内藤とうがらしを収穫し、葉つみ、選別・洗浄作業を行いました。雨のなかの葉つみ作業の大変さや、美味しい佃煮を作る調理のコツを紹介するとともに、茎は茎茶に加工し、材料を使い切る工夫に取り組みました。手間暇かけた料理は、心の胃袋も満たされる味わい深い一品になると強く感じました。

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 会場では実際にとうがらし茎茶の試飲も行われました。甘みのなかにほんのりと辛味がまじり、昆布のようなゆたかな風味が感じられました。

■早稲田大学 学生NPO農学塾

 早稲田・大隈庭園に田んぼ「わせでん」を作り、お米の栽培をするとともに、脇の菜園で内藤とうがらしを作っています。「内藤とうがらしの再興と地域ブランド化」をコンセプトに、新宿区内各所で取り組む「とうがらし普及プロジェクト」に協力しています。

■学習院女子大学

「新宿内藤とうがらしの味の特徴」

 内藤とうがらしの栽培を行い、日かげと日なたの育成環境の比較や、種、果肉など部位ごとの栄養成分の違いを科学的に分析しました。その結果、日かげより日なたの方がアミノ酸が多く味が濃いこと、種や台座には昆布に含まれるグルタミン酸、果肉は水分が多く、体の調子を整えるアミノ酸が多く含まれることが分かりました。

 内藤とうがらしの茎茶の試飲で、昆布のような味わいが感じられたのは、昆布にも多く含まれるグルタミン酸によるものと思われます。

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 最後に大竹道茂氏、料理研究家の宮崎理恵氏、内藤とうがらしプロジェクト発起人の成田重行氏からコメントが寄せられました。

 江戸東京野菜にはまだまだ分かっていないことがたくさんあります。

 学習活動では、子供たちが新宿ゆかりの江戸東京野菜を通して、地域の歴史や文化に目を向け、愛着を感じて一生懸命に取り組んでいる姿が印象的でした。

 ぜひ、みなさんそれぞれに、内藤とうがらしの魅力をさらに掘り下げて、学習を深めていってほしいとのお話がありました。

 今後ますます地産地消が注目されるなか、新宿の農業文化に光が当たってゆく、その中心が内藤とうがらしになってゆく未来もそう遠くないのかもしれません。

 私たち国民公園協会は、今後も新宿御苑の歴史を守る取り組みを進めてまいります。 

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(写真:お土産の内藤とうがらしと内藤かぼちゃパン)

【新宿御苑内藤とうがらしフェア】イベント開催予告!

 とう(10)がらし(4)にちなんで、10月4日(日)から10月12日(月祝)まで、新宿各地で内藤とうがらしの魅力を発信するさまざまなイベントが開催されます。

 新宿御苑では10月3日(土)~4日(日)、10月10日(土)~12日(月祝)に江戸東京野菜をご紹介する野菜市場を開催します。

 >>江戸東京野菜市場チラシ(PDFファイル)

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