ナンバンギセルが咲きはじめました
日本庭園の上の池に架かる橋の近くでは、ススキが青々とした葉を元気よく伸ばしています。その根元をのぞきこんでみると、ナンバンギセルが咲きはじめていました。
長い柄の先に咲く花の形が西洋人の使っていたキセル(喫煙パイプ)に似ていることからと名付けられたと言われているナンバンギセルは、山野に生える一年生の寄生植物で、葉を持たないため自分で光合成をすることができません。そのためススキやミョウガ、サトウキビなどの植物の根に寄生し、そこから養分を取りながら成長します。
日本には古くからある植物の様で、万葉集ではオモイグサ(思い草)の名で呼ばれています。和歌の上では、思い草は「忍ぶ恋」を表わしていて、うつむきかげんに咲く花を、恋に悩む女性の姿に見立てていたようです。
新宿御苑では例年8月中旬ごろまで見られ、独特の形で人気のある花のひとつです。ひっそりと咲く、薄紫色のナンバンギセルの花をお楽しみください。