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福羽逸人とゆかりの植物

新宿御苑の見どころ

 今日、新宿御苑は皆さまの憩いの場としてご利用いただいていますが、明治のはじめに日本の近代農業振興を目的として創設された「内藤新宿試験場」だったことは存知ですか?

 そこでは欧米の栽培技術や果物、野菜の栽培、養蚕、牧畜などの研究が幅広く行われていました。新宿御苑の発展に力を尽くし、また日本の近代農業や園芸において数多くの功績を残した福羽逸人は、明治10年に実習生として内藤新宿試験場に入り、明治31年には新宿御苑の総責任者にまで上りつめました。彼が御苑で手がけた事業のひとつに、無加温室での温室ブドウの栽培があり、これは国内初の試みでした。

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(福羽逸人)

 その他にメロン、オリーブ、イチゴなど新宿御苑、福羽逸人がかかわった農作物は多く、初夏のくだものでお馴染の『ビワ』もそのひとつです。ビワの木は、大温室近くや大木戸門近くなど、園内に約20本植栽されています。

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「綺麗なオレンジ色で宝石みたい」とお客さま。

枝いっぱいにオレンジ色の果実が実り、遠目からでも目を惹くビワの木。毎年、果実がオレンジ色に熟し始めると「待ってました!」といわんばかりに園内の鳥たちが集まり、ビワの実を食べる鳥たちの姿も近くでお楽しみいただけるかもしれません。

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(ビワの実をついばむムクドリ)

 園路を挟んだ向かい側には、高さ約10メートルを超えるビワの大木がありましたが、3年前の降雪により倒木してしまいました。この木は、明治12年(1879)頃、新宿御苑に勤務していた植物学者・田中芳男が、長崎から持ち帰ったビワの種から作った『田中ビワ』の原木といわれていました。

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(福羽逸人『回顧録』)

 福羽逸人も、晩年に記した『回顧録』の中で、この田中ビワから新しい品種を作ったと記しています。当時は一つの実の中に7~8個種が入っているものが多かったのですが、福羽が作ったビワは種が2個で果肉がとても多かったそうです。その後、田中ビワは全国に普及し、主に愛媛県・千葉県・香川県などで栽培されています。

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 新宿御苑とともに歩み、時代を超えて受け継がれる木々を巡りながらの散策はいかがでしょうか?

(新宿御苑の植物は、都会にくらす生きものたちの大切な食べものや住みかにもなっています。花や実、葉を観察したあとはもとの場所に戻し、園内の動植物をとらないようお願いいたします)

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