現在、園内各所で環境省 新宿御苑 管理事務所による木材チップの敷きならし作業を行っています。

　遠目には「土の山」や「モグラ塚」にも見えますが、こちらは新宿御苑内の枯損木などで作ったチップです。

　あたりいったいにチップ独特の匂いがただよい、こんもりとした山がいくつも並びます。この不思議な光景に、お客さまからは「あの土の山は何ですか?」「何の作業をしているのですか?」といったお問い合わせをいただきます。

　(写真:動物のモグラが作った本物のモグラ塚/日本庭園)

　チップの敷きならしは、おもに園内の土が出ている樹林地で行います。植物に守られた芝生地とは違い、土がむき出しの地面は、人に踏まれたり、雨が降ることで、だんだん土が流れ出てしまいます。木のまわりの土が減ると、根が地上に出て、木が弱ってしまいます。

　チップを地面に敷くことで、地面や木の根もとを保護する効果があるほか、植物性のチップは木の栄養(肥料)としても役立ちます。

　新宿御苑には、これまでの長い歴史に育まれた、さまざまな樹木があります。なかには自然災害や寿命などで、あえなく枯れてしまう木もありますが、新宿御苑では、こうした木もチップとして園内へかえすことで、ほかの生きものたちや、次の命をはぐくむ土台となっています。

(写真:新宿御苑のシンボルツリー・ユリノキ)