「カラスが夢中で食べている実は何ですか?」と、カラスに興味津々のお客様より、インフォメーションセンター窓口にお問い合わせがありました。
新宿門から入って、大木戸門方向へ園路を進んでいくと右手側に、モミジが多く植栽されているエリアがありますが、多くのカラスたちが夢中になって何かを食べていました。
そっと近づくと警戒したカラスたちが一斉に飛び立ってしまいましたが、居た辺りの地面を見るとたくさんの実が落ちていました。
これは、ナンキンハゼの実です。花の季節は、蜜がお目当ての虫たちに大人気だったナンキンハゼですが、今はカラスの人気を集めているようです。バサバサ♪と時折、実のついた枝が落ちて来ます。木を見上げてみると、一羽のカラス。どうやら実を落とす係をやっているようです。木の下で実を啄む仲間たちに向けて、枝を落としていました。
カラスたちはこの実が大好物らしく、その場を離れるとまた多くのカラスたちが集まり、夢中で食べ始めました。
ナンキンハゼの実は、枝先などに10個前後がまとまって付き、だんだんと熟して黒くなります。熟した実がはじけると、中から白い種皮に包まれた種子が出てきます。
この種皮がロウ質を多く含むので、かつてはロウソクや石鹸、油などを作る原料に使っていたそうです。カラスたちは、この脂肪たっぷりの種がお目当てだったのですね。
ナンキンハゼは紅葉が美しいことでも知られていますが、新宿御苑のナンキンハゼはきれいに色づく前に落葉してしまうことが多いです。
カラスたちをも虜にするナンキンハゼの実を、散策の際に観察してみてはいかがでしょうか?
2018年11月18日 09:57