生物多様性について考える

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 地球上に最初の生命が誕生したのが約40億年前。地球誕生から現在までを1年と考える地球カレンダーの中で、生命が誕生したのは2月17日のことで、そのたったひとつの生きものから長い時間をかけて、今日までにさまざまな生きものが生まれました。現在、知られているだけでも3000万種の多様な生きものたちがつながりあい、この地球に生きています。そして、私達人類の祖先は地球カレンダーのなかで12月31日の午前10時頃に誕生しました。そんな新参者の人類が誕生してから、かつてないスピードで様々な生きものたちが姿を消しています。
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【写真↑:絶滅危惧種メタセコイア】
 
 昨日5月22日は「国際生物多様性の日」でした。1993年に地球上の生物多様性の保全や持続可能な利用などを目的とした「生物多様性条約」が発効されたことを記念して、2000年の国連総会で定められた日です。毎年、異なるテーマが設定されますが、今年は「生物多様性条約25周年」となり、生物多様性条約(CBD)事務局が中心となり、25周年を祝うとともに、世界中で生物多様性の保全に関する催事が行われています。
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【写真↑:生物多様性条約25周年のロゴマーク】
 
 新宿御苑でも、(社)日本植物園協会の植物多様性保全拠点園として、また植物園自然保護国際機構(BGCI)が定める「植物園の保全活動に対する国際アジェンダ」の登録園として、絶滅危惧植物の生息域外保全と種子保存に取り組んでいます。
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【写真↑:2017年絶滅危惧種展よりアサザ】
 野生生物は本来の自生地で保全することが原則ですが、生息域内での存続が困難な状況に追い込まれた種を守るため、一時的に生息域外において保護することも重要です。新宿御苑では、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種としては、ハナシノブの系統保存を行っているほか、4種(アマミデンダ、オキナワセッコク、ムニンノボタン、ムニンツツジ)を栽培しています。そのほかにも、レッドリスト記載種の約170種(うち絶滅危惧種約140種)について、温室や栽培所などを活用した栽培を行っています。
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【写真↑:2017年絶滅危惧種展より】
 また、2008年10月から絶滅危惧植物の種子保存を行っています。種子は植物そのものに比べて小さいため、取り扱いがしやすく、場所を取らずに保管することができます。万が一、野生の植物が失われても、種子から栽培して増やしたり、自然に戻したりと、研究・保護活動への活用が期待されています。日本植物園協会および各植物園などと連携して、全国から種子とその自生地の情報を収集し、新宿御苑内の施設で長期保存を行っています。
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 新宿御苑では、6月の環境月間、特別企画ということで5月29日(火)~6月3日(日)で絶滅危惧種展を開催いたします。普段、非公開の栽培所で温室担当スタッフが栽培している絶滅危惧植物を大温室内で展示しますので、どうぞご覧ください。
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 園内に植栽されている樹木の中にも、絶滅危惧種が何種かあります。サービスセンター近くに植栽されているブラジルマツは、独特の樹形からインフォメーションセンターにお問い合わせの多い樹木ですが、絶滅危惧IA類(CR)に属し「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い」とされています。木材利用の伐採により広い範囲で減少していることと、食用のために果実と種子が採取されていることも生育に悪影響を与えているようです。この機会にご注目ください。
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 また、御苑には、虫や鳥など様々な生きものたちが暮らしています。それは、外敵から隠れたり、住みかになる草木や池、エサになる虫や植物の種、実などがたくさんあるためで、都会の貴重な緑地空間として多くの生きものたちの命を支えています。これが、園内の動植物のお持ち出しをご遠慮いただいている理由のひとつです。
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 この時期は生きものたちの繁殖シーズンですが、みなさんが目にしやすいのは鳥の子育てではないでしょうか。特に身近な野鳥であるスズメは、春から夏にかけて何度も繰り返し、卵を生み、子育てをするのはご存知ですか?一度に生む卵は5個くらいで、かえったヒナは約2週間で巣立ち、1週間くらい親子で過ごしてからひとり立ちします。この親子で過ごす1週間は、ヒナが自然界のルールを学び、ひとりで生きていくための大切な準備期間になります。 巣立ってすぐの鳥のヒナはまだ上手に飛べないため、地面に落ちていることもありますが、親鳥がすぐそばで見守っているので、基本的に拾わずにそのままにしてください。
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 また、カメが水から離れて歩いているのを見ると心配になることもあると思いますが、ちょうどこの5月から6月はカメの産卵シーズンになるため、産卵場所を求めて園路を歩くことがあります。カメが園路や草原を歩いているのを見かけても池に戻さずに見守ってください。
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 生きものたちを守っていくには、それぞれの生きものたちがどんな環境で生活しているか、どんな行動をとるのかを知り、正しい知識を身につけることが大切です。
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 新宿御苑の植物や生きものを通じて、身の周りの生物多様性について考えてみませんか?
 
■日本絶滅危惧植物展■
【会期】平成30年5月29日(火)~6月3日(日)
【会場】新宿御苑 大温室
【開館時間】9:30~15:30(15:30入館終了、16:00閉館)
 
 
 

2018年5月23日 15:15

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