次世代の命を紡ぐユリノキの"冬の花"

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 先日お客さまから「ユリノキの花は咲いていますか?」とお問い合わせをいただきました。
 春の花夏の緑秋の黄葉と、四季折々に変化する装いが楽しめますが、「冬にも花は咲くのだったかしら?」とユリノキを訪ねてみることにしました。
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 冬枯れしたミルクティー色の芝生に、葉を落とした巨樹が堂々とたたずむイギリス風景式庭園。その広い芝生の中央で、ゆったりと枝を伸ばしているのが、新宿御苑のシンボルツリーとして親しまれるユリノキです。
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 巨樹を見上げると、すぐにユリノキの“冬の花”が見つかりました。近くで見ると、ますますお花にそっくりですね。これはいったいなんだと思いますか?
 
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 正解はユリノキの「実(果実)」でした。むずかしい言葉では「集合果」といいます。まるで花のように見えますが、軸を中心に果実が花びらのように寄り集まって、この集合果をつくります。
 ユリノキは花がチューリップに似ることから、別名チューリップツリーとも呼ばれますが、冬の実もまさにチューリップのような形をしていますね。
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 ユリノキの実は「翼果(よくか)」と呼ばれています。名前の通り、はがれ落ちた果実一枚一枚にプロペラのような翼があり、根元には種がくっ付いています。プロペラ部分が翼の役割を持ち、風に乗ってタネが遠くまで飛んでゆく仕組みです。
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 新宿御苑のユリノキは、今から約120~130年程前の明治20~30年代に、日本ではじめて植えられたものといわれています。
 明治34年(1901)の新宿御苑の開園10周年記念には『新宿御苑 名木10選』にも選ばれ、明治40年には街路樹育成用に園内のユリノキの種子が東京に払い下げられました。赤坂迎賓館から外堀通りの紀伊国坂をはじめ、日本各地の街路樹のユリノキの“お母さん”となった歴史があります。
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 何百年もの樹齢を重ねた巨樹も、はじまりはこのほんの小さな種ひとつだったと思うと、植物が持つエネルギーや、生きものの不思議さが身近に感じられますね。
 園内の生きものたちを通して、新宿御苑の歴史にふれてみてはいかがでしょうか?

2018年1月17日 11:00

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