2017新宿内藤とうがらしサミットが開催されました

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 平成29年9月24日(日)、学習院女子大学で新宿内藤とうがらしフェア実行委員会の主催する「2017新宿とうがらしサミット」が開催されました。
 新宿ゆかりの江戸東京野菜である内藤とうがらしをテーマに、地域の学校やNPOが栽培や研究、学習活動の取り組みの成果を発表しました。
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 内藤とうがらしは、新宿御苑が徳川家康の家臣・内藤氏の下屋敷であった江戸時代より栽培され、やがて新宿一帯へと広まっていった伝統野菜です。
 とうがらしというと辛みの強い鷹の爪がおなじみですが、内藤とうがらしはマイルドな辛みと昆布のお出汁のような旨みが特徴です。
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 江戸時代の新宿御苑は、徳川家康の家臣・内藤氏の下屋敷でした。敷地内の菜園でとうがらしの栽培がはじまると、江戸のおそばブームとともに大変な評判となり、やがて周辺の農家でも栽培されるようになりました。
 秋の実りの季節には、新宿から大久保、早稲田から高田馬場にかけて一帯の地が、真っ赤なじゅうたんを敷いたような風景になったそうです。
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 江戸の都市化にともない、いったんは姿を消してしまいましたが、2008年に発足した内藤とうがらしプロジェクトにより、一度は絶滅した内藤とうがらしのタネ探しから、タネの発見、栽培、研究を重ねた後、本格的な復活の取り組みが始まりました。
 その後、新宿区内の学校や公共施設、商店街などで栽培がはじまり、現在は地域での苗の配布や商品開発なども行われ、内藤とうがらしの取り組みの輪が広がっています。
(写真:学習院女子大学キャンパスで栽培している内藤とうがらし)
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 とうがらしサミットでは、まず、内藤とうがらしプロジェクトリーダーの成田重行氏より、開会の挨拶がありました。
 新宿の地域活動をみんなで共有するために始まったサミットも3回目となり、新宿地域でおよそ5千人の方が苗を育てるまでになりました。今年は歴史や植物、食育、文化など、さまざまなテーマの取り組みが増え、活動の広がりが感じられました、と話しました。
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 次に、学習院女子大学長の神田典城氏より、内藤さんともご縁の深い本校でサミットが開催されることが大変喜ばしく、みなさんの研究の成果を楽しみにしています、とお話がありました。
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 続いて、新宿区長の吉住健一氏より、新宿にはそれぞれ地域ごとの特色がありますが、地域のみなさんが新宿といえばこれだ!と共通の思いを持てるのが「内藤とうがらし」です。新宿ならではのお土産としてさらに親しまれるようになり、お友達を訪ねるときの手土産にしていただければ、とお話がありました。
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 最後に、江戸東京・伝統野菜研究会代表の大竹道茂氏より、江戸東京野菜の魅力をご紹介いただきました。
 現在、各地で江戸東京野菜の復活の取り組みが行われ、これまでに45品目が江戸東京野菜として登録されているそうです。
 内藤とうがらしをはじめとする江戸東京野菜の大きな特徴が、タネを採れる固定種であるということです。地域の小学校では、子どもたちが育てた江戸東京野菜のタネを、地域の生きた遺産(レガシー)として先輩から後輩へと受け継ぎ、タネを通して命がつながることを学ぶ命の学習活動が行われています。
 これからもみなさんが育てて実ったタネを、みなさんの手で後輩たちや次の世代へと繋いでいってください、と話しました。
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 続いて、新宿地域の学校やNPOの栽培の取り組みや学習活動の報告会が行われました。
 
■四谷小学校
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 「四谷の未来創造プロジェクト」と題して、四谷の街に内藤とうがらしを広めるため自分たちに何ができるかを考え、テーマ学習として取り組みました。
 まず、内藤とうがらしの苗の配布会で地域の方にインタビューを行い、内藤とうがらしの魅力を調べました。
 次に特徴や歴史、料理のほか、内藤とうがらしの香りをいかした入浴剤や石鹸、アロマキャンドルなどのグッズ作り、内藤とうがらしをモチーフにしたキャラクターを使ったゲーム開発やホームページ作りなど、子どもたちそれぞれのアイデアで内藤とうがらしのPR活動を行いました。
「活動を通して内藤とうがらしのことがますます好きになりました!これからも内藤とうがらしで四谷の街を盛り上げたいです」
 
■西戸山小学校
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 内藤とうがらしについて「うま味」「歴史」「成分」「料理」「種」「野菜」「食べ方」「再生」「生産量」の9つのポートフォリオを作って魅力を整理しました。栽培学習では、内藤とうがらし、鷹の爪、万願寺唐辛子、ピーマンをわざと隣り同士にして育てることで、それぞれの野菜がどのように交配するか、うま味や辛みがどう変化するか、研究分析を行っているところです。
 
■落合第六小学校
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 成田重行さんを講師にお迎えして、まず内藤とうがらしをよく知るための勉強会を行いました。続いて、学校の屋上にある畑に苗40株を植え付けて栽培をはじめました。栽培中は葉っぱが鳥に食べられてしまうトラブルもありましたが、手作りした大きなネットで苗を囲い、無事に赤い実を付けることができました。来年の栽培に向けて鳥対策を考えています。
 
■大久保小学校
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 内藤とうがらしのテーマ学習に取り組み、今年で8年目になりました。内藤とうがらしの苗の栽培と観察、収穫を行い、子どもたちそれぞれに興味をもったテーマで、とうがらしで作ったカレー作りなどの料理やオリジナルグッズ作りに取り組みました。
 とうがらしを染料に使って手作りしたしおりは、大久保図書館に置いてもらったり、大久保商店会祭りで配ってもらって、内藤とうがらしを地域の人にPRしました。
 葉っぱを使ったお茶づくりでは、はじめはピーマンの香りがしましたが、炒って揉んでを繰り返してお茶らしくなりました。とうがらしを使ったお茶ですが辛くなく、葉っぱを揉んだ手は良い香りがしました。
 今は国によるお茶の違いを調べていて、地域の人に飲んでもらえるお茶会の準備をしています。これからも楽しみながら学習していきたいです。
 
■西新宿小学校
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 「江戸東京野菜の歴史を調べよう」をテーマに、内藤とうがらしと内藤かぼちゃの調べ学習と栽培を行いました。
 内藤かぼちゃは、江戸時代の新宿御苑にあった内藤家の菜園で作られはじめました。その後、生産地が西へと移っていったことから角筈かぼちゃ、淀橋かぼちゃと呼ばれるようになりました。4月にタネをまき、栽培をスタートしました。今年は天候不順のため生育は順調とはいえませんでしたが、内藤かぼちゃを5つ収穫できました。
 内藤とうがらしは、苗を育てているエコギャラリー新宿の職員の方へインタビューを行いました。育てたとうがらしはタネを来年用に残すほか、来館者にあげたり、展示したり、うどんやそばの薬味として使っているそうです。インタビュー学習を通して、地域の人が内藤とうがらしを大事にしていることが分かり、私たちもその思いを引き継いでいきたいと思いました。
 
■新宿中学校
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 今年から内藤とうがらしの苗の栽培をはじめたばかりで、ちょうどいま実がなってきたところです。これから子どもたちの学習教材として取り組んでいきたいです。今年は給食のパスタに内藤とうがらしを取り入れました。みなさんからアドバイスをいただきながら、内藤とうがらしの活動がさらに活発になるように進めてゆきたいです。
 
■都立園芸高等学校
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 内藤とうがらしプロジェクトの栽培と研究の取り組みを紹介しました。
 内藤とうがらしの辛み調査では、部位ごとや冷凍と常温、生とドライの食べ比べを行い、辛さの違いを調べました。調査の結果、一般的に辛いといわれていたタネよりも胎座がより辛いことが分かりました。また、冷凍するとより辛みがマイルドになったため、辛い物が苦手な人にも食べやすくなることが分かりました。
 また、昨年の課題となったカメムシの食害対策では、葉っぱが混んでいるほど被害が大きくなることが分かりました。
 来年度はウリ科など異なる科同士での交配にも取り組むなど、さらに調査研究を進めてゆきたいです。
 
■新宿高等学校
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 新宿御苑に学校が隣接しており、日頃から学習活動の一環として新宿御苑で奉仕活動に取り組んでいます。大正12年(1923)に新宿御苑より土地を譲り受けて校舎が作られており、内藤とうがらし発祥の地である御苑ともなじみが深い歴史があります。
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 今年から内藤とうがらしを研究するチームを発足し、80鉢の苗の栽培をはじめました。最初は植木鉢で栽培を開始しましたが、途中から花壇での栽培に切り替えたところ、すくすくと大変よく育ち、夏休みにたくさんの真っ赤な内藤とうがらしを収穫できました。
 栽培中にはテレビの取材を受けたり、文化祭で栽培している鉢を展示するなどしてPR活動にも取り組みました。今後は収穫した内藤とうがらしを活用して、人体への効果や他の生物への影響、他のとうがらしとの味覚成分の違いなどを研究したいです。
 
■戸山高等学校
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 江戸時代から伝わってきた江戸東京野菜ですが、昭和の高度経済成長期の人口増加に伴い、大量生産・大量消費ができるF1品種が主流となったことで衰退していきました。今や日本は海外の食物に依存する輸入大国となりましたが、フード・マイレージの視点でみると、安価な輸入品は輸送のエネルギー効率が悪く、地球環境にも良くありません。
 その土地で生産されたものをその土地で消費する「地産地消」の題材として、内藤とうがらしをはじめとする江戸東京野菜の調査と栽培、料理に取り組みました。
 また、SSH指定校であることから、「内藤とうがらし」をテーマに家庭科、生物、英語、世界史、化学の分野の先生がそれぞれ講義を行う学習活動も行いました。今後は収穫した内藤とうがらしを使ったピザ作りなど、さまざまな視点から活動を進めてゆく予定です。
 
■学習院(幼稚園、初等科、中高女子部、中高男子部)
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 学習院では院長をはじめ幼稚園から大学のみなさんで内藤とうがらしを応援しており、学習院全体で500鉢の苗を栽培しています。
 初等科では栽培を通じて、生徒がすすんで行った生長記録が発表されました。
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 高等科では内藤とうがらし、内藤かぼちゃを使って、宝蒸しやカボチャの花の包み焼きなど、いろいろなメニュー作りに取り組みました。
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 学習院女子大学では生徒を中心としたとうがらし応援隊を結成し、東京の文化発展や地域との連携、振興を目的として活動を行っています。
 
■早稲田大学 学生NPO農楽塾
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 日頃より「農を楽しみ農を考える」をテーマに、キャンパス内に小さな田んぼや畑を作り、都会に住む子どもたちが農と自然にふれあえる場の提供を行っています。
 内藤とうがらしについては、地域の団体や企業と連携して栽培を行っており、生産者の立場で、内藤とうがらし普及プロジェクトに貢献させていただいています。昨年はアブラムシ対策が課題でしたが、生育がよくないとうがらしの実を使った虫よけスプレーを開発するなど、工夫して栽培しています。
 これまでは収穫した実を地域のイベント等に提供していましたが、今後はSNSなどを使って、自分たちでも情報発信に取り組んでゆきたいです。
 
■服部栄養専門学校
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 「おいしいサイエンス」をテーマに、内藤とうがらしに合う食材探しと、レシピ作りに取り組みました。美味しさを感じるポイントは「味」と「香り」です。昨年は「香り」をテーマに、内藤とうがらしと香りの相性の良い食材として「金柑」に注目し、オリジナルジャムを作りました。
 今年も学生が内藤とうがらしの栽培を行い、出来上がった実をどう食べるのか、アイデアを出し合いました。今回は内藤とうがらし、宮崎産のへべす、東京は神田明神の米麹を使った唐辛子みそを開発しています。10月1日からはじまる内藤とうがらしフェアでご紹介する予定です。
 
■新宿調理師専門学校
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 学生41名で内藤とうがらしプロジェクトチームを作り、「知る」「行く」「作る」「まとめ」の4つのステップで学習活動を行いました。
 まずは内藤とうがらしを「知る」ために50鉢の苗を栽培しました。続いて、内藤とうがらしの栽培農家を訪ねて「行き」、葉とうがらしの収穫作業を行いました。次に収穫した葉とうがらしを使った佃煮と味噌入りを実際に「作り」、土鍋で炊いたご飯と豚汁とともに食べました。
 学生の中には、食材としての葉とうがらしを今回はじめて知った人も多く、料理への関心がよりいっそう高まりました。また、収穫した葉とうがらしの仕分けと洗浄作業は大変でしたが、だからこそ価値があり、その土地で採れたものをその土地の方法で調理して食べることがごちそうだと思った、といった声も聞かれました。
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 学校やNPOの報告会がすべて終了し、最後にまとめの挨拶が行われました。
 国民公園協会新宿御苑の宍戸支部長からは、みなさんの多様な視点の取り組みを聞かせていただき、大変勉強になりました、とのコメントが寄せられました。
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 続いて、料理研究家の宮崎理恵氏より挨拶がありました。
 みなさんの研究を聞かせていただくのはこれが3回目、これまでに80レシピくらいを考案しました。毎年このサミットで勉強させていただき、新しいメニューを作るアイデアをもらっています。野菜は栽培することでテーマが広がると感じました。子どもたちの視点から専門的な視点までさまざまで、これこそが内藤とうがらしの魅力と感じました。
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 日頃より食育の普及啓発に取り組む山本先生は、今年はじめて内藤とうがらしサミットに参加されました。
 みなさんの研究を聞いて、これがまさに食育だなと感じました。みなさんそれぞれに素晴らしい研究を地道にやっていて、これまで参加しなかったのがもったいなかったと感じました。これからも地域の歴史と食文化の発展のため、素敵な研究を続けてください、とのお話がありました。
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 新宿区議会議員の伊藤先生は、日頃より子どもの教育とSNSを使ったPR活動に積極的に取り組んでいます。
 内藤とうがらしのテーマ学習は、地域の歴史や文化など教科書にない深い勉強ができます。みなさんの学びが深まり、新宿の街をもっと好きになれるよう、これからも応援してゆきたいです、とのお話がありました。
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 最後に、参加者全員で「内藤とうがらし宣言」を行い、閉会となりました。
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 また、サプライズとして、新宿調理師専門学校の白田先生から、葉とうがらしを使った佃煮の試食をご用意いただきました。
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 子どもたちや地域の人々が愛着をもって活動に取り組む姿が印象的な内藤とうがらしプロジェクト。
 今後ますます地産地消が注目されるなか、新宿の歴史や文化に光が当たってゆく、その中心が内藤とうがらしになってゆく未来もそう遠くないのかもしれません。
(写真:学習院女子大学の内藤とうがらし応援隊のみなさんからお土産をいただきました)
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 私たち国民公園協会は、今後も新宿御苑の歴史を守る取り組みを進めてまいります。 
 
 9月26日(火)より新宿御苑内エコハウスの展示スペースで内藤とうがらしのテーマ展示がはじまります。
 新宿御苑にご来園の際は、ぜひエコハウスへお立ち寄りください。
 
■【第4回】新宿内藤とうがらしフェア■イベント開催予告!
 とう(10)がらし(4)にちなみ、平成29年10月1日(日)から10月9日(月祝)まで、新宿各地で内藤とうがらしの魅力を発信するさまざまなイベントが開催されます。
 
・新宿内藤とうがらしフェア オープニングイベント
日時:10月1日(日)13:00~16:00
場所:新宿モア4番街にて(新宿駅東口)
内藤とうがらし摘み取り体験、料理方法、お守り作り盆栽仕立ての内藤とうがらし鉢植え、新名物!新宿ご当地七味などを総合案内コーナーにて紹介します。
 
・新宿御苑では平成29年10月7日(土)~9日(月祝)に江戸東京野菜をご紹介する野菜市場を開催します。

2017年9月25日 09:00

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