「江戸東京野菜のエキスパートが語る"夏野菜"講座」を開催しました

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 昨日9月17日(土)、NPO江戸東京野菜コンシェルジュ協会と国民公園協会新宿御苑の主催により、「江戸東京野菜のエキスパートが語る“夏野菜”講座」を開催しました。
 江戸東京野菜の内藤とうがらし、内藤カボチャ誕生の地である新宿御苑を会場に、江戸東京野菜をめぐるさまざまな動きをお伝えする講座です。
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 江戸東京野菜とは名前のとおり、江戸(東京)の地で生まれ、江戸から昭和の各時代に人々の食生活を支え、食文化をはぐくんだ野菜のこと。
 野菜には「練馬大根」「雑司ヶ谷ナス」「谷中ショウガ」というように地名が付いており、それぞれの地域に根差した物語があるのが特徴です。
 江戸東京野菜は平成28年9月現在で42品目が登録されています。
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 今回は野菜ソムリエ・アスリートフードマイスターの田代由紀子氏を講師におむかえしました。
 田代さんは「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに、野菜ソムリエ・アスリートフードマイスターとして、レシピ提供やコラムの執筆活動、セミナー・料理教室講師として活動していらっしゃいます。
 江戸東京野菜の楽しみ方をテーマに、レシピ考案の手順や料理への活かし方とともに、江戸東京野菜と出会ってから意識するようになったことをご紹介いただきました。
 
 田代さんと江戸東京野菜の出会いは、小平市の栽培農家の方が手がける東京ウドがきっかけでした。
 ウドはウコギ科タラノキ属の高級野菜のひとつで、新芽や茎を食用にします。
 シャキシャキの食感やさわやかな香りが特徴で、カリウムや食物繊維も多く含まれ、低カロリーなので、ダイエットする方にも嬉しい野菜なのだそうです。
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 東京ウドは、幕末に吉祥寺で栽培されたことにはじまり、戦前・戦後を通して技術開発、改良が重ねられ、その後、北多摩一円は品質、生産量ともに日本一のウド産地へと成長してゆきました。
 現在も東京を中心に関東各地で栽培されており、東京都内では三鷹市や立川市などがおもな生産地となっています。
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 そんな東京ウドを使った代表的なレシピといえば、きんぴら、酢味噌和え、天ぷらの三品が知られていますが、「もっともっと東京ウドを使ってみよう!」という思いから、さまざまなレシピを考案しました。
(写真:東京ウドを使った代表的なレシピ3品)
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 レシピを考えるポイントは「主となる食材を生かす」こと。
 食材の形や色、香り、食感、栄養素、調理法、品種の特徴をよく知ることが大切です。
(写真:東京ウドの魅力ポイント)
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(写真:形、加熱した際のアスパラのような食感をいかした「ウドのアヒージョ」)
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(写真:さわやかな香り、繊維質の食感をいかした「ウドとキャベツのコールスローサラダ」)
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(写真:栄養素の組み合わせをいかした「ウドと豚肉の黒コショウ炒め」)
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 また、江戸東京野菜ならではのポイントとして欠かせないのが、野菜ひとつひとつに込められた歴史的なストーリーや、江戸・昭和時代の調理方法です。
 江戸東京野菜のひとつ・青茎三河島菜は、小松菜や白菜と同じアブラナ科の野菜です。
 高さが60~70センチにもなる大型の野菜ですが、青くささやクセ、筋張ったような硬さがないのが魅力です。
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 天正18年(1590)、徳川家康は江戸に入府する際に、尾張、遠州、駿河などにいた配下の商人から農民までも江戸に連れてきました。
 青茎三河島菜は、三河の百姓を入植させた三河島(現在の荒川区尾久周辺)で栽培された野菜といわれています。
 
 昭和のはじめごろにいったんは東京の地から姿を消してしまいましたが、仙台藩の足軽が種子を江戸から仙台に持ち帰り、仙台芭蕉菜の名で現在も食べ続けられていたことが分かりました。
 その後、青茎三河島菜は見事に復活を果たし、じつに数十年ぶりにかつての江戸=東京の地へと種が帰ってきました。
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(写真:ストーリーをいかした「青茎三河島菜と仙台麩の卵とじ」)
 
 江戸東京野菜の多くは、ダイコンやカブ、青菜など、漬け物にすると美味しい野菜が多いのも特徴です。
 江戸時代は参勤交代により、地方からの出稼ぎ労働者も多い時代だったため、保存ができて、シンプルな調理方法で食べるのが好まれていたようです。
 緑黄色野菜も少ない時代だったので、ダイコンやカブなどの根菜も葉っぱまで大切に食べられていました。
 
 漬け物というと、現代においては、健康上の理由から食べないという方や、家庭で漬けるといってもひと昔前ほど一般的ではなくなってきました。
 江戸東京野菜に限らず、食材は食べられることがなくなると、だんだんと食卓から姿を消してしまいますね。
 
 あまり知られていませんが、東京ウドは皮むきをせず、そのまま使って、美味しく食べられる野菜です。
 ところが、料理本などで必ず皮むきをしなくてはいけないという誤解が広まり、ウドが使いにくい野菜になってしまっているのが、もったいないと感じているそうです。
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 「たくさんの人にいろいろな食べ方を知ってもらいたい!」という思いから、田代さんは既成概念にとらわれない、現代の食生活になじむ楽しいレシピづくりを心がけています。
 
 最後に、参加者の方に向けて「江戸東京野菜を使ってこんなメニューを作りました!」という情報共有もぜひしていきたいです、とまとめのお話がありました。
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 次に、NPO江戸東京野菜コンシェルジュ協会理事で野菜ソムリエの上原恭子氏より「食材としての江戸東京野菜」をテーマに、レシピの紹介と試食会が行われました。
 今回ご紹介するのは「内藤カボチャ」と「滝野川ゴボウ」です。
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 恒例の食べ比べには、茹でた滝野川ゴボウの上の部分と下の部分が登場しました。
 使う場所によって、味わいや食感、かたさが違うので、料理するときの大切なポイントになります。
 食味体験は、滝野川ゴボウのきんぴら、内藤カボチャと鶏の蒸しもの・八王子ショウガソース、滝野川ゴボウごはん、内藤カボチャのプリンの4品を試食しました。
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(写真:内藤カボチャのプリン)
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 今回ご参加の方は、日ごろから料理をなさる方も多く、「ゴボウのささがきは道具をこんなふうに使うと簡単にできますよ」「私はいつもこうやっています」と、作り方のコツやアイデアの情報交換もさかんに行っていらっしゃいました。
 
 新宿御苑では普段より、レストランゆりのき、カフェはなのきにて、江戸東京野菜や東京産の食材を使用した地産地消メニューをご紹介しております。
 ご来園の際には、ぜひお立ち寄りください。
 

2016年9月18日 10:00

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