2012新宿御苑フォトコンテスト入賞作品

【主催者挨拶】
 「2012新宿御苑フォトコンテスト」入賞作品展にご来場いただき、誠にありがとうございます。このコンテストは、カメラを通して新宿御苑の自然の素晴らしさを感じ楽しんでいただくため平成3年度から開催され、今年で22回目を迎えました。
 今回も長野から広島と全国各地500名のみなさまから1873点の応募をいただきました。今年は新温室のリニューアルオープンなど、新宿御苑の新しい魅力を応募作品とする方も多く、いずれも甲乙つけがたい力作ばかりでしたが、厳正な審査を経て入賞作品が選ばれました。
 写真展にはこの入賞作品とあわせて、審査にあたられた写真家の特別作品を展示いたしました。多くの方々にご覧いただき、新宿御苑の四季折々の表情と自然の美しさを楽しんでいただければと思います。
 フォトコンテストの実施及び写真展の開催にあたり多大なるご支援をいただきました、環境省新宿御苑管理事務所、富士フイルムイメージングシステムズ株式会社ならびに関係各位に厚く御礼申し上げます。

一般財団法人 国民公園協会新宿御苑 会長 福澤 武



【審査員総評】
 新宿御苑のフォトコンテストは今回で22回目を迎えましたが、今回もまた御苑の新しい魅力を再発見させられる作品の数々が寄せられました。中でもひときわ目立ったのはプラタナス並木を写した作品で、御苑を知らない人にはヨーロッパの公園の一角といっても不思議には思わない画面となっていました。
新宿御苑は明治期にフランスのヴェルサイユ宮殿をモデルとして造園されていますが、苑内にはフランス式整形庭園、イギリス風景式庭園、日本庭園の三つの庭園があり、各々の文化を元にした様式美を見せています。また母と子の森は動植物のビオトープとして必要以上の手を入れず、桜園地には各種の桜が、モミジ山には様々な紅葉樹が植栽されて季節毎に訪れる人々の目を楽しませてくれます。
 審査に携わった私達は、共に数年以上御苑の四季を写し続けてきましたが、まだまだ見逃したり撮り損なっている場面は少なくありません。昨年末には大温室も出来上がり、植えられた植物達もこれから少しづつ存在感を増すでしょう。今は地面が出ている部分もやがて葉や茎に覆われる日が来るのもそう遠くないと思います。その変化を追いかけてみるなど、写す対象は尽きることがないでしょう。なおお気付きの方もあるかと思いますが、過去の台風や1月の降雪で折れたり倒れたりした木々もあります。自然は場所の如何を問わず、常に誕生と終焉が巡っていることを意識しながら、日々苑内の管理をしてくれている方々に感謝の念を持ち、節度を持って撮影を楽しんで頂きたいと思います。

審査員 : 写真家・木村正博
写真家・岡本洋子


 環境大臣賞

「散歩道・冬枯れ」  安藤和 (東京都)

 〈講評〉 御苑のプラタナス並木を知らない人が見たら、ヨーロッパのどこの公園? と思っても不思議のない作品です。冬の柔らかい光の下、奥行き感のあるモノトーンの画面が、ここのモデルであるヴェルサイユ宮殿の一角のような錯覚を与えます。

(撮影日:2012年2月8日 撮影場所:フランス庭園)

 環境省自然環境局長賞

「ピンクのジュウタン」  萩原恒夫 (東京都)

 〈講評〉 題のとおり、まるでピンクのジュウタンを敷き詰めたようなカンザンの花弁のボリューム感に圧倒されます。ローアングルで地面を覆った花弁の様子を強調し、その上に葉桜になりかけた木々の様子を取り入れたのも季節の移ろいを感じさせます。

(撮影日:2012年5月2日 撮影場所:イギリス風景式庭園)

 環境省新宿御苑管理事務所長賞

「観賞」  板尾健一 (東京都)

 〈講評〉 秋の御苑の目玉ともいえる、菊花展を観賞する人々の姿をいい視点で2枚の組写真にまとめています。大作りの根元を覗き込んでいるものは過去にもありましたが、人と組み合わせて写すのが難しい懸崖菊花壇を見る人々の姿をシルエットにしたのも成功でした。

(撮影日:2012年11月14日 撮影場所:日本庭園)

 一般財団法人国民公園協会新宿御苑会長賞

「小鳥たちへクリスマスプレゼント」  藤村禎一 (東京都)

 〈講評〉 親子で小鳥の巣を作り、苑内の木々に取り付けている様子を3枚の組写真にまとめています。クリスマスが近い時期だったのでしょうか、題の付け方も適切で、作業する親子の会話が聞こえてくるようです。

(撮影日:2012年12月15日 撮影場所:母と子の森)

 特選 (10点)

「失礼しました」  大野勝高 (東京都)

 〈講評〉 まさに決定的瞬間を写していますが、これほど画面と題が組み合わさってユーモラスなイメージを強調している者も少ないでしょう。眼に焦点が目にきちんと合っているのもいいのですが、我知らず顔で横を向いた姿もユーモラスで面白いですね。

(撮影日:2011年3月2日 撮影場所:日本庭園)


「小春日和」  菊池邦子 (東京都)

 〈講評〉 旧洋館御休所と晩春を飾るサトザクラを上手に用い、イメージ溢れる2枚の組み写真にまとめました。萌え出したユリノキの若芽や芝生の緑を活かし、小春日和の気候と開放感を感じさせる画面を作り出しています。

(撮影日:2012年4月24日 撮影場所:)


「森林浴」  黒田良男 (埼玉県)

 〈講評〉 広角レンズの特長を活かしたのが成功していますね。光が当たったカタバミの花に焦点を合わせて遠近感を強調しながら絞り込まず、意図的に遠景をボカシ気味にした画面作りは秀逸です。

(撮影日:2012年5月27日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


「ミストに咽ぶ温室」  清水克己 (埼玉県)

 〈講評〉 昨年暮れに開館した大温室には様々な植物が植えられていますが、まだ真新しさを感じます。明るい天井と立ち込めたミスト、それに暗い木々が、これから熱帯の様な雰囲気となる数年後の温室を予感させます。

(撮影日:2012年11月22日 撮影場所:温室)


「エクスキューズ・ミー」  高野郁男 (神奈川県)

 〈講評〉 ブライダルアルバム用写真の撮影中、その前を堂々と横切るおばあちゃん。苦笑しつつ通り過ぎるのを待つ3人と、邪気のない笑みを浮かべたおばあちゃんの表情の対比がいいですね。

(撮影日:2012年4月9日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


「秋色讃歌」  辰巳 功 (東京都)

 〈講評〉 青空を背景に、空に伸び上がった紅葉が何ともきれいです。周辺に配した緑の葉もいずれ紅葉へと変わって行くのだろうという、画面を見る者の想像力を刺激する構成になっています。

(撮影日:2012年11月21日 撮影場所:下の池)


「中の池雪景」  泊り忠昭 (千葉県)

 〈講評〉 悪天候こそシャッターチャンス、という言葉がそのまま当てはまる画面です。雪を被ったマツを対角線上に大胆に配した構図もよく、その向こうに雪に霞む橋や人々の様子を組み合わせたのが成功しています。

(撮影日:2012年2月29日 撮影場所:中の池)


「御苑の森を行く」  原田恵一 (東京都)

 〈講評〉 題の後ろに「子供探検隊」と付けたくなるような画面ですね。森や野原は子供のワンダーランドですから、この後彼らがどのような発見をしたのか一緒に歩いてみたい気がしてきます。

(撮影日:2012年10月5日 撮影場所:母と子の森)


「晩春を彩る」  松山進 (神奈川県)

 〈講評〉 小雨模様の天候の下、今を盛りと咲き誇る花を付けた八重桜の枝と緑の対比も効果的です。遠景の傘を差した人の姿は、逍遥という言葉がしっくりと当てはまる雰囲気があります。

(撮影日:2012年4月23日 撮影場所:桜園地)


「花も団子も」  三橋俊之 (神奈川県)

 〈講評〉 画面と題のマッチングが優れた作品です。視線の先にある枝垂れ桜と、手に持ったみたらし団子の両方を愛でている女性の健康的な横顔が目を引き付けます。

(撮影日:2012年4月1日 撮影場所:下の池園)

 入選 (20点)

「春雪」  池口 保 (東京都)

 〈講評〉 雪の降る美しい写真です。芝生や植え込みの木に積もる雪は御苑の庭園美を魅力的に伝えていますし、奥に咲き誇る桜のピンク色が寒さに震え春の到来を遠ざけているかのようです。千載一遇のチャンスを逃さず撮っています。

(撮影日:不明 撮影場所:日本庭園)


「春の香り」  生澤泰雄 (東京都)

 〈講評〉 なかなか上手いフレーミングです。ポイントとなる桜の美しさを彩り豊かにヤマブキの柔らかい黄色の前ボケが縁どっています。ただ前ボケだけでは隠し切れなかった人物が隙間から見えるのが少し残念です。

(撮影日:2012年4月18日 撮影場所:日本庭園)


「空いっぱいの桜花」  市村宗男 (神奈川県)

 〈講評〉 青空を覆う満開の桜の木。春爛漫の風景に御苑のランドマーク、ドコモタワーを隙間に入れた計算されつくした構図です。暖かな春の日差しを感じる写真です。

(撮影日:2012年4月7日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


「二人の楽園」
加藤一郎 (神奈川県)


 〈講評〉 お揃いのニットを着てブーツを履いて、おしゃれでかわいらしい姉妹ですね。特に2枚目の手をつないでスキップする仲良しぶり、二人の姿を暖かく見守る後ろの女性。見るものの心をほっこり温める写真ですね。

(撮影日:2012年11月24日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


「紅葉筏」  川島加代子 (東京都)

 〈講評〉 スローシャッターで表現した写真ならではの作品です。流れのスピードや動き方など、じっくり観察して何度も挑戦されたのではないでしょうか。動かない岩と流れてぼける葉っぱの対比を黒い画面に上手くまとめています。

(撮影日:2012年12月16日 撮影場所:旧御凉亭)


「雪の芸術」  神林昌子 (東京都)

 〈講評〉 東京に雪が積もるのは年に1〜2回あるかないかです。このチャンスをカメラに収めようと朝早くから開門を待つカメラマンもいるほどです。手前の怪獣のような面白い形の木を主役にして力強い作品になりましたね。

(撮影日:2012年2月29日 撮影場所:中の池)


「落ち葉のワンダーランド」  小泉正 (東京都)

 〈講評〉 子供たちの歓声が聞こえてくるようです。プラタナスの黄色と子供たちの緑色の帽子の色の対比や奥行きのあるプラタナス並木とそれを横切る子供たちのライン、様々な要素が上手くからみ合っています。

(撮影日:2012年11月13日 撮影場所:フランス式整形庭園)


「鏡」  坂本浩一 (埼玉県)

 〈講評〉 暗雲立ち込めるどことなく不安な気持ちにさせる写真ですが、シンメトリーな構図の中に雲の広がりやビルの映り込みを上手く捉えて不思議なモノトーンな世界を作り上げています。見るものを引きつけます。

(撮影日:2012年1月24日 撮影場所:中の池)


「師走の雨」  坂本泰男 (神奈川県)

 〈講評〉 撮影の視点がいいですね。新しく出来た温室のガラス越しに撮られた写真でしょうか。雨粒がついて雨の日の演出が効いています。黒い洋服を着て歩く男性の後ろ姿がどことなく寂しげでストーリー性のある写真に仕上がっています。

(撮影日:2012年12月22日 撮影場所:温室)


「季節の彩り」  鹿内忠直 (神奈川県)

 〈講評〉 素敵な写真ばかりを集めた組写真です。新しく出来上がったばかりの温室も加えて盛りだくさんの内容です。組にした方がよかったのかは?ですが、それぞれの写真はしっかりときれいに撮られています。

(撮影日:2012年 撮影場所:園内各所)


「えーいっ」  高橋幸三 (東京都)

 〈講評〉 魚眼レンズで撮られたのでしょうか。銀杏の木や大地がゆがんで面白い効果を生んでいます。また落ち葉を投げる子供の動きを取り入れて写真に動きを与えていますね。顔に落ち葉がかかってしまったのが残念でした。

(撮影日:2011年12月10日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


「足元の黄葉」  中田順子 (埼玉県)

 〈講評〉 黄葉したギボウシの葉っぱも群生していると存在感がありますね。紅葉の時期は上ばかり見て足元の何気ないものは見過ごされがちです。また一見ごちゃっとして難しい被写体を上手くまとめましたね。

(撮影日:2012年12月2日 撮影場所:園内)


「秋をお散歩」  中島一之 (千葉県)

 〈講評〉 プラタナスの黄色く色づいた明るい並木の中を3人の子供と大人が歩いていく後ろ姿です。後ろ姿なのに、二人の子供たちの会話が聞こえてくるようなドラマチックな瞬間を捉えています。

(撮影日:2012年11月20日 撮影場所:フランス式整形庭園)


「真っ赤なバラが」  日高信一 (東京都)

 〈講評〉 バラの一番きれいに咲いている時期に撮られましたね。バラのラインを縦長の画面に斜めに配置して花の赤と木々の緑と空の水色のラインを上手くフレーミングしています。さりげなく上手い写真です。

(撮影日:2012年5月30日 撮影場所:フランス式整形庭園)


「春爛漫」  福田 渉 (神奈川県)

 〈講評〉 やわらかくソフト効果を効かせたでしょうか。この絵柄にぴったり、ふんわり柔らかな表現になっています。背景や主役への光の当たり具合もいいですね。何とも上品で落ち着いた雰囲気のある作品に仕上がっています。

(撮影日:2012年4月5日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


「起桜桃結」  藤木ケンタ (東京都)

 〈講評〉 白っぽくハイキ―なトーンでまとめられた春の花木の組み写真です。場面を変えた撮り方にも工夫が見られますし、トーンを合わせる事で違和感のない組み写真に仕上がっています。春のやさしさをイメージさせる写真です。

(撮影日:2011年4月6〜14日撮影 撮影場所:園内各所)


「お風呂大好き!」  藤沢政義 (神奈川県)

 〈講評〉 かわいらしい女の子が落ち葉の山に埋もれています。女の子がカメラを見つめる瞳がなんとも言えません。画面上の女の子の位置もいいですね。安定しています。落ち葉がもっと積もっていたらもっとよかったでしょう。

(撮影日:2012年11月15日 撮影場所:フランス式整形庭園)


「巨樹」  宮森義雄 (東京都)

 〈講評〉 木の面白い形に着目して魚眼レンズでデフォルメして、さらに下からのアングルで大きさを誇張して撮っています。このアイデアとそれをビジュアルでも成功させた作者は素晴らしいセンスの持ち主ですね。

(撮影日:2012年12月5日 撮影場所:園内各所)


「余韻」  山根寛明 (東京都)

 〈講評〉 水面の散り桜とドコモタワーのシルエット。たったこれだけの構成要素ですが、とても印象的です。また淡い桜のピンク色と深緑色の池のグラデーションも和風テイストで着物の柄のような雰囲気の写真です。

(撮影日:2012年4月11日 撮影場所:上の池)


「宝探し」  渡辺泰昭 (東京都)

 〈講評〉 今や雀も数が減っているとの事。そのうち珍しい被写体になってしまうかもしれません。よく見ると愛らしい雀の姿が枯れ葉の中、シャープに捉えられています。背景の緑の葉っぱもアクセントに効いています。

(撮影日:2012年12月1日 撮影場所:イギリス風景式庭園)

 (子供の部)大好き新宿御苑賞 (5点)

「サクラの流星群」  小野賀誠 (東京都)

 〈講評〉 満開のきれいな桜を過不足なくフレーミングしました。大人でもなかなかこうは撮れません。桜のピンク色と背景にあるわずかな緑の組み合わせもとても上品です。

(撮影日:2012年4月3日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


「さかさまの空」  川口智之 (神奈川県)

 〈講評〉 あれ、何かおかしい?!よく見ると上下逆さまの世界が広がって、不思議な空間が生まれています。水面の映り込みを利用した子供ならではのアイデアで、楽しい作品です。

(撮影日:2012年10月21日 撮影場所:日本庭園)


「炎の竜」  高橋翼斗 (東京都)

 〈講評〉 子供とは思えない大人顔負けの上手な写真です。タムケヤマモミジの木の下から逆光のシルエットの面白さを余すところなく撮っていますね。露出もばっちりです。タイトルもカッコイイです。

(撮影日:2012年11月25日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


「新宿のバラ」  野村美帆 (東京都)

 〈講評〉 青い空とさわやかな緑色の中の赤いバラが印象的です。大胆なバラの配置や伸びやかな緑の葉っぱを画面に入れたのが、自由で子供らしいいい写真です。

(撮影日:2012年10月21日 撮影場所:フランス式整形庭園)


「御苑のかがやく宝石」  Yurika* (東京都)

 〈講評〉 逆光でオレンジ色に透き通る桜の葉っぱをよく見つけましたね。夕方の光を利用した事、ドコモタワーとメタセコイヤの木の間に桜の木の枝を入れたこと。なかなかのセンスです。

(撮影日:2012年12月6日 撮影場所:イギリス風景式庭園)


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